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【2025年最新】事業所の規模別ストレスチェック実務のポイント

目次[非表示]

  1. 1.制度10年目のいま、何が変わったのか
  2. 2.ストレスチェックの義務の概要
  3. 3.対象となる事業場|50人以上と50人未満の違い
  4. 4.実施フロー|2025年版の手順
  5. 5.50人未満義務化の現状とスケジュール
  6. 6.小規模(50人未満)での実務ポイント
  7. 7.プライバシー保護と情報管理の実務
  8. 8.医師の面接指導の取扱いと注意点
  9. 9.結果報告・集団分析|実務で起きやすい落とし穴
  10. 10.よくある違反・罰則リスク
  11. 11.まとめ|安全・確実な制度運用のポイント

制度10年目のいま、何が変わったのか

ストレスチェック制度は2015年に導入され、従業員の心理的負担を把握し、個人のセルフケアと組織の職場環境改善を両輪として推進する仕組みとして定着してきました。

制度開始から10年目となる今、制度の運用範囲が大きく変化する転換期にあります。

従来は従業員50人以上の事業場が義務対象で、50人未満は努力義務でした。

しかし、令和7年5月の労働安全衛生法改正により、全ての事業場でストレスチェックが義務化されることが決まりました。

施行日は公布後3年以内に政令で定められ、最長で令和10年度(2028年度)までになります。この改正により、企業規模に関わらず制度の遵守が求められています。

小規模事業場の円滑な対応を支援するため、厚生労働省は以下の施策を整備しています:

  • 50人未満の事業場向けに、プライバシーを確保しつつ実効性のある実施体制・方法のマニュアルの作成(※)

  • 医師による面接指導の受け皿となる地域産業保健センターの体制拡充

義務化の準備期間はあるものの、早期に体制を整えることが、実務負担の軽減とトラブル防止につながります。

担当者は、この転換期を機に、制度の趣旨を正しく理解し、従業員の健康と組織の安全運営を支える体制づくりを進めることが求められます。

※2025年11月に厚労省より小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル (素案)が公開されています

ストレスチェックの義務の概要

ストレスチェックは労働者の心理的負担を把握し、必要に応じて医師の面接指導につなげる一次予防の仕組みです。目的は以下の3つです。

  • メンタル不調の未然防止

  • 職場環境改善の推進

  • 労働者保護の強化

年1回の実施が原則で、厚生労働省の標準方式または同等以上の信頼性を持つ調査票を使用します。

対象となる事業場|50人以上と50人未満の違い

■ 50人以上の事業場

  • 実施義務

  • 結果報告義務

  • 面接指導義務

  • 通知義務

■ 50人未満の事業場

2025年の現在は努力義務ですが、改正法により義務化が予定されています。政令で施行日が決定されるため、早期準備が必要です。

実施フロー|2025年版の手順

基本的な流れは以下のとおりです。

  1. 実施者(医師・保健師等)の選任

  2. 計画策定と周知

  3. 質問票の実施と集計

  4. 高ストレス者の選定

  5. 面接指導申出の受付

  6. 医師による面接

  7. 就業措置の検討

  8. 集団分析

  9. 結果報告(50人以上)

50人未満義務化の現状とスケジュール

令和7年5月の改正公布により、義務化は「公布後3年以内に政令で定める日」から施行されます。

最長で令和10年度(2028年度)には全国の小規模事業場が義務化対象となります。

政令次第では前倒しの可能性もあり、早期準備が望まれます。
背景として、実施率は

  • 50人以上:81.7%

  • 50人未満:34.6%

と差が大きく、メンタル不調による休職や労災が増加していることから、規模に関係なく労働者の保護を強化する必要があります。

小規模(50人未満)での実務ポイント

小規模事業場は以下の課題を抱えています

  • 産業医不在

  • プライバシー確保の難しさ

  • リソース不足

対応ポイント

  • 外部委託
    実施、集団分析、面接設定まで外部委託することでプライバシーと専門性を確保できます。厚生労働省もガイドラインを提示しています。

  • 段階的な導入の一例
    例:受検と面接体制(医師の手配)整備 → 集団分析導入 → 改善策のフォロー

  • 産業医の活用
    スポット面談や嘱託契約の活用、地域産業保健センターの利用が現実的です。

  • 匿名性の確保
    集団分析は10名以上が原則です。10名未満は個人特定のリスクが高いため、検討が必要です。

プライバシー保護と情報管理の実務

制度運用で最もトラブルが多いのが個人情報の取り扱いです。

  • 個人結果は実施者のみ閲覧可能

  • 本人同意があっても使用目的と範囲、撤回方法を明確化

  • 面接指導後の人事評価への連動は禁止

50人未満でも、義務化後は同様の管理基準が求められます。

医師の面接指導の取扱いと注意点

高ストレス者が申し出た場合、50人以上の事業場では面接指導が義務です。今後、50人未満の事業場でも同様の措置が必要になります。

  • 申し出は本人の任意

  • 意見書は実施者から企業側へ

  • 就業措置は本人の同意と企業人事側との合意形成が必須

※本人同意なしの配置転換はトラブルにつながります。話し合いの場を設け、合意形成しましょう。

結果報告・集団分析|実務で起きやすい落とし穴

よくある問題:

  • 分析結果を放置

  • 改善策が検討されない

  • 労働者へのフィードバック不足

職場改善につなげることが制度の目的のひとつです。結果のフィードバックや組織改善を検討しましょう。

社内でのフォローが難しい場合は、外部委託サービスの活用も有効です。

よくある違反・罰則リスク

指導対象となるケース:

  • 未実施

  • 結果報告未提出(50人以上)

  • 個人情報の不適切処理

  • 面接指導の未実施

罰則は労働安全衛生法違反として 50万円以下の罰金、是正勧告、行政記録への残存などがあるため、注意が必要です。

まとめ|安全・確実な制度運用のポイント

2025年の運用で最重視すべきは、

  • 個人情報保護
  • 面接指導の適切運用
  • 集団分析の活用

制度は「実施すればよい」だけではなく、職場改善や従業員の健康維持につなげることが重要です。特に小規模事業場でも早めに仕組みを整えておくことが、安全で信頼できる制度運用につながります。

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監修:佐々木玲子
監修:佐々木玲子
【所属:MBK Wellness株式会社 保健同人フロンティア事業本部 健康経営事業部 企画・マーケティング室 (管理栄養士/公認心理師)】 地域や医療機関、研究所およびフリーランスの活動を経て、当社にて保健指導、EAP(従業員支援プログラム)、研修、各種コンサルティングの企画・実施に従事。現在は、これまでの経験を活かし、企業人事の視点に立った、従業員の健康支援や人的資本投資に資するサービスの企画・開発を担当。 メンタル・フィジカルの両面から、従業員一人ひとりの「Well-being」の実現を目指し、企業の健康経営に基づく持続的成長を支援している。

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