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メンタルヘルス対策の義務とは?ストレスチェック制度の実施要件や留意点


企業で働く労働者の心の健康をケアするためのメンタルヘルス対策は、メンタルヘルス不調に伴う労働生産性やパフォーマンスの低下、休職・離職を防ぐために重要なものです。

メンタルヘルス対策の一環であるストレスチェック制度は、事業場で常時働く労働者の人数に応じて義務付けられており、実施に関する正しい知識を身につけておく必要があります。

この記事では、メンタルヘルス対策の義務やストレスチェック制度の実施要件・留意点などを詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.企業におけるメンタルヘルス対策の義務とは
  2. 2.メンタルヘルス対策が義務化された背景
    1. 2.1.①労働安全衛生法改正に伴うストレスチェック制度の設立
    2. 2.2.②労働者の心の健康の保持増進のための指針
  3. 3.メンタルヘルス対策の一環であるストレスチェック制度とは
    1. 3.1.①ストレスチェック制度の趣旨と目的
    2. 3.2.②ストレスチェック制度の実施義務がある事業所
    3. 3.3.③対象の労働者と実施者
    4. 3.4.④ストレスチェックには報告義務あり
  4. 4.個人と組織のストレスチェックならHoPEサーベイ
  5. 5.まとめ


企業におけるメンタルヘルス対策の義務とは

メンタルヘルスとは、労働者の心の健康を指す言葉であり、メンタルヘルス不調の未然防止や早期発見、メンタルヘルス不調者の職場復帰などに向けた具体的な取り組みが対策にあたります。

厚生労働省では、メンタルヘルス対策を推進するため、『ストレスチェック導入ガイド』や『労働者の⼼の健康の保持増進のための指針』で企業に求める取り組みを提示しています。

メンタルヘルス対策のなかでも、ストレスチェックは事業場の労働者数によって実施が義務付けられている取り組みです

企業では、実施が義務付けられているメンタルヘルス対策を講じるだけではなく、PDCAを回して施策を継続的に改善していくことが求められます。


メンタルヘルス対策が義務化された背景

メンタルヘルス対策が義務付けられた背景には、ストレスチェック制度の設立や、労働者の心の健康の保持増進のための指針の策定が挙げられます。

①労働安全衛生法改正に伴うストレスチェック制度の設立

ストレスチェック制度は、2015年12月における労働安全衛生法の一部改正により誕生した法律上の制度です。

出典:厚生労働省『過労死等の労災補償状況

日本では精神障害による労災認定件数が増加傾向にあり、メンタルヘルス不調になるリスクを未然に防止する目的でストレスチェック制度が義務化されました。

労働安全衛生法第66条の10『心理的な負担の程度を把握するための検査等』では、以下のようにストレスチェック制度を定義しています。

心理的な負担の程度を把握するための検査
第六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。


出典:労働安全衛生法『第六十六条の十

②労働者の心の健康の保持増進のための指針

メンタルヘルス対策の実施にあたって、厚生労働省では労働安全衛生法第69条と70条の第2項にて適切な対応を求めています

健康教育等
第六十九条 事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。


健康の保持増進のための指針の公表等
第七十条の二 厚生労働大臣は、第六十九条第一項の事業者が講ずべき健康の保持増進のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
2 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。


出典:労働安全衛生法『第六十九条、第七十条の二

これらの法律に基づいたメンタルヘルス基本的な考え方や心の健康づくり計画などは、『労働者の⼼の健康の保持増進のための指針』でさらに詳しく説明されています。

メンタルヘルス対策の一環であるストレスチェック制度とは

ストレスチェックは、メンタルヘルス対策の一環として義務化されているため、企業の担当者は正しい知識を身につけておく必要があります。

ここでは、厚生労働省が公開している『労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル P.4』を参照して、ストレスチェック制度の趣旨や目的、対象者や報告義務などを詳しく解説します。

①ストレスチェック制度の趣旨と目的

ストレスチェック制度の主な趣旨・目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)です

紙媒体または電磁的な媒体による自記式の質問票を用いて、労働者のストレス度を把握します。また、労働者自身もストレスに気づくことがストレスチェック制度の趣旨とされています。

ストレスチェックの実施後は、職場環境の改善と働きやすい職場づくりにつなげることが大事です。

②ストレスチェック制度の実施義務がある事業所

ストレスチェック制度の実施義務があるのは、常時50名以上の労働者がいる事業場です。上記以外の事業場に関しては、ストレスチェック制度の実施を努力義務としています。

ただし、メンタルヘルス不調の未然防止をできるだけ実施してもらうために、産業保健総合支援センターや地域窓口(地域産業保健センター)にて産業保健サービスが無料で提供されています。

また、厚生労働省からも『厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム』が提供されており、無料でストレスチェックが実施できます。

③対象の労働者と実施者

ストレスチェック制度の対象者は、以下の要件を満たした労働者となります。

① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労 働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上で ある者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されてい る者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事 する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。


出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル P.30

実施者に関しては、医師や保健師をはじめ、厚生労働大臣の定める研修を受けた歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師が該当します。

④ストレスチェックには報告義務あり

ストレスチェックの検査と面談指導結果については、労働基準監督署に報告する義務があります

検査及び面接指導結果の報告
第 52 条の 21 常時 50 人以上の労働者を使用する事業者は、1 年以内ごとに 1 回、 定期に、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(様式第 6 号 の2)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。


出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル P.98

報告義務を怠った場合、労働安全衛生法違反として50万円以下の罰金に処せられる可能性があるため、報告漏れは確実に避けなければなりません。

また、事業者には労働者の心と体の健康維持を支援する安全配慮義務があり、ストレスチェックを怠った場合、安全配慮義務違反として損害賠償義務を負う可能性があります。


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まとめ

この記事では、メンタルヘルス対策の義務について以下の内容で解説しました。

  • 企業におけるメンタルヘルス対策の義務
  • メンタルヘルス対策が義務化された背景
  • メンタルヘルス対策の一環であるストレスチェック制度

メンタルヘルス対策は、法律に沿った適切な対応が求められており、ストレスチェック制度の実施に関しては常時50名以上の労働者がいる事業場で実施が義務付けられています。

ストレスチェック制度の主な目的は、メンタルヘルス不調を未然に防止することであり、企業では従業員のストレス度の把握やストレスへの気づき、メンタルヘルス不調者への適切なフォローが必要とされます。

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