
健康経営における女性特有の健康課題に対する取り組みとは?~2026年1月公表「問診活用の最新マニュアル」を踏まえて~
女性の就業率が上昇し、企業における女性活躍推進が加速する中、「女性特有の健康課題」への対応は、福利厚生の枠を超え、経営戦略として重要性を増しています。
月経、妊娠・出産、更年期といったライフステージに伴う健康課題は、個人の体調だけでなく、業務パフォーマンスやキャリア形成にも影響します。
こうした背景を踏まえ、厚生労働省は 2026年1月に
- 女性特有の健康課題に関する問診に係る健診機関実施マニュアル
- 女性特有の健康課題に関する問診を活用した女性の健康管理支援実施マニュアル ~事業者向け~
を公表し、企業が女性の健康支援を進めるための指針を示しました。
さらに、2025年12月に開催された経済産業省の第4回健康経営推進検討会資料でも、女性の健康支援が健康経営の重要施策として位置づけられています。
本記事では、これらの資料をもとに、マニュアルのポイントをわかりやすく整理し、企業が健康経営の視点から取り組むべき施策についても解説します。
目次[非表示]
女性特有の健康課題が注目される背景
働く女性の増加と健康課題の顕在化
厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)」では、女性の就業状況が大きく変化していることが示されています。
特に、近年の女性就業率の上昇は顕著で、企業における女性の健康支援の必要性を裏付ける重要なデータとなっています。
女性の就業率は 20 年間で約 10 ポイント上昇
総務省労働力調査によると、
- 2002年の女性就業率:57.5%
- 2022年の女性就業率:70.0%
この20年間で 約12.5ポイント上昇 しており、働く女性の数は確実に増加しています。
特に、結婚・出産期にあたる30代女性の就業率は2002年:62.4% → 2022年:77.5% と大幅に上昇しており、ライフステージと仕事が重なる期間が長くなっています。
ライフステージごとの健康課題が業務に影響
女性はライフステージごとに健康課題が変化します。
- 20〜30代:月経痛、PMS、不妊治療
- 30〜40代:妊娠・出産、育児との両立
- 40〜50代:更年期症状
これらの課題は、欠勤だけでなく、プレゼンティーズム(出勤しているが生産性が低い状態)にも影響し、企業の生産性に直結します。
実数で理解する女性の健康課題が経営に与える影響
女性特有の健康課題は、個人の体調だけでなく、企業の生産性・離職率・医療費などに直接影響します。
女性特有の健康課題による経済損失は約3.4兆円
経済産業省の「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」の資料によると、職域での対応が期待される4項目(月経随伴症、更年期症状、婦人科がん、不妊治療)※3を抽出し、欠勤/パ フォーマンス低下割合/離職率等の要素と平均賃金を掛け合わせた。結果、これら女性特有の健康 課題による労働損失等の経済損失は、社会全体で約3.4兆円と推計されています。
特に、40〜50代の女性は管理職層・専門職層にも多く、組織力低下につながるリスクがあります。
不妊治療と仕事の両立ができず26.1%が離職
不妊治療を経験した方のうち26.1%の方が、不妊治療と仕事を両立できずに離職したり、雇用形態を変えたり、不妊治療をやめたりしています。
離職は採用・育成コストの増加につながり、企業にとって大きな損失です。
そのため、2025年3月には、厚生労働省から
が公開されています。
企業には、不妊治療を受けながら安心して働き続けられる職場環境の整備が求められています。
女性の健康管理支援実施マニュアルのポイント
令和8年1月19日に厚生労働省が公表した 「女性特有の健康課題に関する問診を活用した女性の健康管理支援実施マニュアル~事業者向け~」 は、女性の健康支援を企業・健診機関・医療職が連携して進めるための最新のマニュアルとなっています。
本マニュアルでは、女性の健康課題をより正確に把握し、職場での支援につなげるための「問診の標準化と活用方法」が明確化されました。
問診項目の明確化
女性の健康状態を適切に把握するため、問診項目が体系的に整理されています。
主な項目は以下の通りです
- 月経に関する状況(周期、痛み、PMS、日常生活への影響)
- 妊娠・出産歴
- 更年期症状の有無
- 不妊治療の状況
- 健康課題が就労に与える影響
これらの項目は、女性自身が自分の健康状態に気づくきっかけとなり、必要に応じて相談や受診につなげるための重要な情報となります。
問診を起点とした「気づき → 相談 → 支援」の流れを明確化
問診を単なる情報収集ではなく、女性の健康支援の起点として活用することが強調されています。
具体的には
- 問診で得られた情報をもとに、産業医・保健師が個別にフォロー
- 健康課題が疑われる場合は、医療機関への受診勧奨
- 就労への影響がある場合は、企業側の制度活用や配慮につなげる
このように、問診を中心にした支援の流れが明確に示されています。
健診機関・企業・医療職の役割分担を明確化
女性の健康支援を効果的に進めるために、関係者の役割が整理されています。
- 健診機関:問診票の配布・回収、データ化、必要な説明
- 産業医・保健師:問診結果に基づく相談対応、支援の提案
- 企業:制度整備、相談体制の構築、職場環境の改善
特に企業には、問診結果を踏まえた働きやすい環境づくりが求められています。
プライバシー保護と相談しやすい環境づくりの重要性
女性特有の健康課題はデリケートな内容を含むため、プライバシー保護の徹底が強調されています。
- 問診票の取り扱いにおける個人情報保護
- 相談窓口の明確化と周知
- 管理職の理解促進のための研修
女性が安心して相談できる環境を整えることが、支援の第一歩であると明記されています。
企業が取り組むべき支援策の例示
企業が実施できる支援策の例も示されています。
- 月経痛や更年期症状に配慮した柔軟な勤務制度
- 不妊治療と仕事の両立支援(休暇制度・相談体制)
- 女性の健康に関する教育・情報提供
- 問診結果を踏まえた個別支援の導入
これらは、従業員の健康保持だけでなく、企業の生産性向上や離職防止にもつながる施策です。
女性の健康支援の健康経営としての効果・メリット
女性の健康支援は、企業にとって以下のようなメリットがあります。
■ 生産性向上
体調不良によるパフォーマンス低下(プレゼンティーズム)の改善が期待できます。
■ 離職率の低下
ライフステージに応じた支援がある企業は、従業員の定着率が
■ 健康経営優良法人認定調査票の評価項目に対応
令和7年度 健康経営度調査票では、女性の健康支援が健康経営優良法人の評価項目に関連していることが示されています。
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まとめ
女性特有の健康課題への対応は、企業の健康経営において欠かせないテーマです。
厚生労働省の最新マニュアルや経済産業省の検討会等の資料を踏まえることで、企業が取り組むべき施策の方向性が明確になります。
まず取り組むべきは、問診を活用した実態の整理と課題の洗い出しです。現状を把握したうえで、女性だけでなく男女問わない従業員への教育を行い、さらに、社内風土醸成の鍵となる管理職のリテラシー向上(管理職教育)を進めることが重要です。
そのうえで、従業員が安心して相談できる相談体制の整備を行うことで、支援の仕組みが機能し始めます。
企業が進めるべき主な施策は以下の通りです。
- 問診の活用(実態把握・課題整理)
- 男女問わない従業員教育と管理職リテラシー向上
- 社内制度の整備
- 情報提供・教育の継続
- 相談体制の構築
これらを段階的に進めることで、従業員の健康保持と企業の生産性向上の両立が期待できます。 女性が安心して働ける環境づくりは、組織全体の活力向上にもつながります。
MBK Wellness株式会社では、女性特有の健康課題に対するサポートも充実しています。
2025年度に配布された健康経営度調査票(大規模法人)では、Q48で「女性特有の健康関連課題に関する知識を得るための取り組み(セミナー等での教育)」についての問いがありました。
動画サービス『ウェルスタ』では、上記の従業員向けの教育施策に該当する、「知っておきたい!働く女性のためのセルフケア」のコンテンツをご準備しております。また、管理職向けには、健康経営で管理職が知っておきたい教育を網羅した「管理職として知っておきたい健康経営基礎知識」のコンテンツがおすすめです。
電話相談は、保健師等による女性の健康専門の社外相談窓口となるため、Q48にも対応しています。
健康経営支援サービスでは、健康経営を専門職コンサルタントが年間で企業の健康経営をサポートしており、導入企業のご担当者様からも厚い信頼をお寄せいただいております。
さらに、健康経営の効果検証のKPIやKGIの測定ができるストレスチェック『HoPEサーベイ』など、健康経営に資するサービスを展開しております。
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