お役立ちコラム

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Case_12 健診受診率をアップする方法

 当社は、東京本社に営業部を置き、全国8か所に工場を展開する製造業です。工場では年1回の決まった時期に健診車による健康診断を行っています。健診車が来るので、受診率はほぼ100%です。これに対して、健診車の来ない本社の社員は、各自が指定された医療機関へ出向くことになっているのですが、受診率はかなり低めです。本社に健診車を呼んだとしても、営業業務のため、1日だけの健診では集まるのが難しく、また費用対効果の上でも実施は難しいと考えています。


 健診シーズンに本社営業部の人たちに呼びかけを行っていますが、「営業なんだから」「突発的に客先訪問の予定が入るから仕方ない」などと言い、健診の予約すらなかなか入らないのが現状です。また、未受診の社員は、検査値が悪いことも多いです。特に、営業部長のAさん(50代男性)は普段から接待や付き合いが多く、暴飲暴食を繰り返しているようですが、健診を受けてくれません。最後に受けたのは3年前で、その時の健診結果によると血糖値が高く、糖尿病の診断を受けていたはずですが、その後の状況は不明です。人事担当の私が受けるよう促すしかありません。A部長は、「毎日出勤できていることこそ、健康の証!」などと言っているのですが、部長が受けなければ、部下も受けなくてよいと思ってしまうのではないでしょうか・・・。


 気づかないうちに糖尿病が悪化し、倒れたりしたらと思うと気が気ではありません。早期発見のためには、健診車が来ない本社従業員にも健診を受けてもらわなければならないのは理解していますが、A部長のような人もおり、どう対応すればよいかわかりません。


■こころの声■

  • 大企業みたいに社内に診療所があるわけじゃないから、健診受診率100%なんて無理ですよねぇ・・・。
  • 健診を受ける義務が従業員にもあるんだけどなぁ。会社も実施する義務を果たしてるんだから、従業員も義務を果たしてほしい。


対応の考え方

「受診しやすい環境づくりと従業員のヘルスリテラシーの向上を

本事例のA部長のように、忙しさを理由に健康診断を受けない人はどこの職場にもきっと見られるでしょう。
いくら健診の機会があっても、A部長のように本人が受診しなければ意味がありません。従業員一人ひとりが「自分の健康は自身がコントロールする」という健康意識を持つことが重要です。
ヘルスリテラシーという言葉をご存じでしょうか。ヘルスリテラシーとは、「健康情報にアクセスし、理解し、活用する個人の力(Nutbeam,1999*)のことです。「体に痛むところはない、食欲はある、お酒もうまい・・・だから健康、健診の必要なし」と考えている従業員には、ヘルスリテラシーを高めて、自身の健康意識を見直していただきたいところです。従業員のヘルスリテラシーを高めるには、教育が必要です。例えば、健診の意義については、法令遵守の側面だけでなく、従業員個人の健康と生活を守るために必要であり、会社経営にとっても重要な施策であることをわかりやすく伝える必要があります。また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は自覚症状のないまま病気が進行し、症状が出たときには重症化しているなどといった知識があれば、おのずと受診行動につながり、受診率が高まることが期待されます。


*Nutbeam D.Health Promotion Glossary(1999)Health Promotion, Internatiional,13(4):349-364.1999(also-WHO/HPR/HEP/98.1) 


文責:保健同人社EAPコンサルタント

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