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全事業者必読!高年齢労働者の労災防止が努力義務化 令和8年4月までに企業が準備すべき7つのポイント

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目次[非表示]

  1. 1.法改正の概要と背景 
  2. 2.なぜ今、高年齢労働者対策が必要なのか 
  3. 3.改正法のポイント 
  4. 4.エイジフレンドリーガイドラインとの関係 
  5. 5.健康経営との関連 
  6. 6.健康管理教育の重要性 
  7. 7.企業が今すぐ取り組むべきこと 
  8. 8.まとめ 

法改正の概要と背景 

2025年5月14日、改正労働安全衛生法が公布され、令和8年(2026年)4月1日から施行されます。

今回の改正では、いくつかの項目が改訂となっていますが、今回注目するのは、高年齢労働者に対する労災防止措置が、すべての事業者にとって「努力義務」となった点についてです。

改正労働安全衛生法全般に関する詳細は、こちらをご確認ください 厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」

改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)の概要では、 「高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施を事業者の努力義務とし、国が当該措置に関する指針を公表すること」 と明記されています。

これは、すべての事業者に対し、60歳以上の労働者の安全確保を目的とした職場環境改善や作業管理を求めるものです。

この改正の背景には、日本の労働市場における高齢者比率の増加があります。

総務省統計によると、労働者の約19%が60歳以上。人手不足を背景に、定年延長や再雇用で高齢者が現場で働き続けるケースが増えています。

しかし、厚生労働省の令和5年度「高年齢労働者の労働災害発生状況」資料では、労働災害による休業4日以上の死傷者数に占める60歳以上の高齢者の割合は29.3%と高く、さらに重症化や長期休業の傾向が顕著です。

加齢に伴う筋力・バランス低下、認知機能の変化が事故の一因となっており、転倒・墜落・熱中症・腰痛などのリスクが高まっています。

なぜ今、高年齢労働者対策が必要なのか 

高年齢の労働者は、経験や技能に優れる一方で、身体機能や認知機能の変化により、以下のようなリスクが増加します。 

  • 筋力低下やバランス能力の低下による転倒・墜落事故 
  • 体温調整機能の低下による熱中症 
  • 重量物作業や長時間労働による腰痛・過労  
  • 認知機能低下によるヒューマンエラー 

こうしたリスクは、企業にとって労災発生による損失だけでなく、労働力確保や生産性維持の観点からも重大な課題です。 

改正法のポイント 

■対象 

すべての事業所が対象です。規模や業種を問わず、努力義務が課されます。

 ■努力義務の内容 

  • 高年齢労働者の特性に配慮した作業環境改善・作業管理
  • 国(厚生労働省)が定める「指針(ガイドライン)」に基づき、事業者は体制整備・職場改善を行う必要があります。

■具体的な取り組み例 

  • 職場環境改善:段差解消、滑りにくい床材、手すり設置、照明の明るさ調整 
  • 設備導入:昇降装置、パワーアシストスーツなどの補助具 
  • 作業管理:作業時間・休憩の見直し、複数人作業体制 
  • 健康管理:定期的な体力測定、健康診断、配置転換 

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エイジフレンドリーガイドラインとの関係 

厚生労働省は、企業が高年齢労働者の安全と健康を確保するための「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(通称:エイジフレンドリーガイドライン)を令和2年に策定しています。

主なポイントは以下の5つです。

  • 安全衛生管理体制の確立 
  • 職場環境改善(照明・床面・温度管理) 
  • 健康・体力状況の把握 
  • 作業・配置の最適化 
  • 教育・研修による意識変革 

このガイドラインは、今回の法改正における企業の取り組みの参考となります。 

健康経営との関連 

今年度の健康経営度調査票にも、「高年齢従業員への配慮」に関する設問が追加されました。

これは、労災防止だけでなく、企業の生産性や人材定着に直結する重要なテーマです。 

安全衛生対策は、単なるコストではなく、企業価値向上の投資と捉えるべきです。

高年齢労働者が安心して働ける環境は、採用力やエンゲージメント向上にもつながります。

健康管理教育の重要性 

法改正対応において見落とされがちなのが、高年齢の従業員本人への健康管理教育です。

設備や環境改善だけでは不十分で、従業員自身が「自分の変化に気づき、適切に対応する力」を持つことが不可欠です。 

教育で伝えるべき内容 

  • 加齢に伴う身体(健診結果、視覚や聴覚等)の変化 
  • 彼に伴う運動機能、認知機能の変化 
  • 運動習慣・食習慣の見直し 
  • 安全な動作・姿勢の習得(腰痛・転倒防止) 
  • 医療機関への早期相談の習慣化 

さらに、高年齢従業員本人だけではなく管理者への教育も重要です。高年齢従業員の特性を理解し、無理な作業を強要しない職場文化を醸成することが、事故防止につながります。

 

企業が今すぐ取り組むべきこと 

企業が準備すべき7つのポイントは以下の通りです。 

  • 現場リスクアセスメントの実施 
    転倒、熱中症、重量物作業など、高齢労働者特有のリスクを洗い出す 

  • 職場環境の改善 
    段差解消、滑り止め床材、手すり設置、照明調整など 

  • 設備・補助具の導入 
    昇降装置、パワーアシストスーツなど、身体負担を軽減する機器 

  • 作業管理の見直し 
    作業時間や休憩の設定、複数人作業体制の導入 

  • 健康診断・体力測定の強化 
    高齢労働者の身体機能や健康状態を定期的に把握 

  • 教育・研修の実施 
    高齢労働者本人への健康管理教育、管理者・同僚への理解促進 

  • 助成金・支援策の活用 
    厚労省や自治体の補助制度を活用し、コスト負担を軽減

まとめ 

高年齢労働者対策は、法改正で「努力義務」となりますが、企業にとっては義務以上の価値があります。 

安全衛生の強化と健康管理教育は、労災防止だけでなく、採用・定着・生産性向上に直結する戦略的取り組みです。 

令和8(2026)年4月の施行に向けて、しっかりと体制を整えておきましょう。 

MBK Wellness株式会社では、企業にお勤めの従業員向け、ならびに管理職向けの教育動画や研修コンテンツを多数ご用意しています。 

特に、健康経営の視点を取り入れた「高年齢労働者向け教育研修動画」は、近年の雇用延長や定年年齢引き上げの流れを受け、非常に高い評価と引き合いをいただいています。 

健康経営では、性差や年齢など、従業員の多様性に伴う健康課題への対応が重要視されており、教育の役割はますます大きくなっています。 

今回の法改正に伴う対応策として、当社のコンテンツをぜひご活用ください。

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監修:佐々木玲子
監修:佐々木玲子
【所属:MBK Wellness株式会社 保健同人フロンティア事業本部 健康経営事業部 企画・マーケティング室 (管理栄養士/公認心理師)】 地域や医療機関、研究所およびフリーランスの活動を経て、当社にて保健指導、EAP(従業員支援プログラム)、研修、各種コンサルティングの企画・実施に従事。現在は、これまでの経験を活かし、企業人事の視点に立った、従業員の健康支援や人的資本投資に資するサービスの企画・開発を担当。 メンタル・フィジカルの両面から、従業員一人ひとりの「Well-being」の実現を目指し、企業の健康経営に基づく持続的成長を支援している。

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