
社内コミュニケーションを活性化する成功事例|話す機会が少ない職場の改善策
企業の人事やストレスチェック担当者の間で、社内コミュニケーション活性化への関心が高まっています。それは、業務効率の向上に加え、メンタル不調の予防や離職防止にも関わるためです。
働き方の多様化やテレワークの導入・見直しが進む一方、上司・部下・同僚との関係づくりに課題を感じる声も出ています。こうした背景から、組織風土の改善や対話の質を高める取り組みが進んでいます。
本記事では、施策検討の参考となる成功事例と、国や地方公共団体の支援策やガイドラインをご紹介します。
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社内コミュニケーションが必要な理由
テレワークやフレックス勤務の普及で、職場の雰囲気は大きく変わりました。フリーデスク化では、挨拶は交わしても、隣の人との会話は減り、チーム全員が顔をそろえる機会も少なくなっています。こうした環境では、ちょっとした相談や雑談が生まれにくく、孤立感や誤解からストレスを抱えやすくなります。
職場の状態を知る手がかりの1つとなるのが、年1回実施されるストレスチェックです。「上司・部下・同僚からのサポート」や「人材の定着」に関する項目は、日常のコミュニケーションの頻度や質とも結びついています。
個別に話を聞くことが難しい場合は、社内でアンケートを取ったり、ストレスチェックに追加アンケート機能がある場合はそこで傾向を把握することもできます。
コミュニケーションが薄れると、ハラスメントの兆候に気づきにくくなります。一方で、対話が活性化すれば業務ミスの減少や心理的安全性の向上、生産性や定着率の改善が期待できます。個々に対応するだけでなく、組織全体で対話を育てる風土づくりが、これからの職場には欠かせません。
コミュニケーションの構成要素
■ 言語によるもの
文字・言葉による伝達
■ 非言語によるもの
表情
目線・視線
声のトーン
姿勢・しぐさ
距離感(パーソナルスペース)
雰囲気・醸し出す空気感(全体的な印象)
社内コミュニケーションでは、言語と非言語の両方が重要です。言語コミュニケーションは、業務連絡や会議、チャット、メールなどを通じて事実や判断を正確に共有する土台となります。
一方、非言語コミュニケーションは、表情や声のトーン、姿勢、うなずき、距離感などから、相手の感情や受け止め方に影響を与えます。
たとえば「大丈夫です。」という言葉でも、表情が硬いと不安が残り、柔らかいトーンであれば安心感が生まれます。1on1面談やチームミーティングでは、うなずきや画面を注視するアイコンタクトが「話を聴いている」サインとなり、心理的安全性を高めます。テレワークでは声の抑揚や反応のタイミングがより重要になり、カメラONなどによる視覚情報の補完も有効です。言語・非言語の両面を意識し、誤解を減らしつつ信頼関係を積み重ねることが大切です。
管理職の方は特にメンバーとやりとりをする際にこういったことを気にされると思います。以下の記事ではその際に気を付けるべきポイントなどをまとめていますのでぜひこちらもご覧ください。
メンタルヘルス対策における管理職の役割とは?部下への声かけやケア方法 | 保健同人フロンティア
良いコミュニケーションをつくる4要素
良いコミュニケーションには、次の4つの要素があります。
①情報のやり取り: 会議時間や業務内容などを正確に共有し、仕事を円滑に進める基盤となります
②感情の共有: 相談やねぎらい、共感を通じて心理的な距離を縮めます
③相互理解: 背景や意図を丁寧に確認し、誤解やすれ違いを防ぐ役割があります
④信頼関係構築: 傾聴や一貫した態度、約束を守る姿勢によって、安心して話せる関係を育てます
社内コミュニケーション事例3選
東急建設株式会社
同社では、従業員の年代構成が偏っていたことで、上司・部下間のコミュニケーションの捉え方にギャップが生じていました。従来のトップダウンのスタイルを見直す機会となり、企業のビジョンについては全社説明会だけでは十分に浸透しないと考え、経営層1名と多様な属性の従業員によるオンライン対話を継続的に実施しました。対話を通じて、ビジョンの浸透を促し、従業員同士の交流促進にもつなげています。
引用:「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック」(2025年3月)
株式会社カヤック
日常の会議や社員合宿、さらに経営会議でも短時間のブレスト(ブレーンストーミング)を積極的に実施し、深刻な課題でも視野を広げられるよう工夫しています。継続的なブレストにより、従業員は日常的に新しい発想を生み出す力が鍛えられ、「面白がる」組織風土という、社員のゆとりや好奇心を育む雰囲気が養われています。
引用:「働きがいのある職場づくりのための支援ハンドブック」(2025年3月)
H.U.グループホールディングス株式会社
ヘルスケア企業の同社は、従業員主体の社内コミュニケーション活性化として「コトダマ×プロジェクト(挨拶を徹底し交流を促す取り組み)」を国内外で展開しています。また、従業員を支える家族に感謝を伝える場として「H.U. Family Day」を開催し、家族ぐるみの交流を深めています。これらの活動が、従業員が健康経営を考えるきっかけとなっています。
【H.U.グループホールディングス株式会社様】健康経営支援サービス導入事例はこちら|保健同人フロンティア
また、以下の記事ではメンタルヘルスケアの研修について詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
メンタルヘルスケア研修を効果的に実施するには?具体的な種類や計画時のポイント | 保健同人フロンティア
コミュニケーションで役立つ理論
エイミー・エドモンドソン|心理的安全性
安心して意見を出せる状態が成果や学習行動を高める。1on1や部署内対話によるストレス要因の把握、ハラスメント予防の基盤となる。
ポール・グライス|協調の原理
会話が成立するための4原則(量・質・関係・様式)を示す理論。伝わりやすい説明や文書作成、誤解の整理に役立つ。
シャノン&ウィーバー|情報伝達モデル
発信から受信までの伝達構造とノイズ(雑音や誤解)を示す基本モデル。テレワーク環境での情報過多や情報の正確な伝達に活用できる。
国と地方公共団体が提供するコミュニケーション改善支援
厚生労働省は、人材の確保のためには、「魅力ある職場づくり」を進めることにより、採用と定着を向上させていくことが重要と考えています。
雇用管理改善等コンサルタントによる人事制度やハラスメント対応、職場コミュニケーション等の相談支援も活用できます。
詳しくはこちら:「魅力ある職場づくり」で 生産性向上と人材確保|厚生労働省
働き方改革推進支援センターでは全国で無料相談や専門家の訪問支援、コミュニケーション改善策の導入助言、テレワーク導入相談も行っています。
詳しくはこちら:働き方改革推進支援センターのご案内 |厚生労働省
メンタルヘルス・パワハラ防止を支える公的サイト
こころの耳(こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)はメンタルヘルスのポータルサイトです。
職場のメンタルヘルス対策 は、「不調者が出てから対応するもの」と思われがちですが、厚生労働省の「職場における心の健康づくり」では、日常の予防と職場づくりを重視しています。ポイントは、本人・上司・専門職・外部機関がそれぞれ役割を持つ「4つのケア」。一人で抱え込ませず、周囲が変化に気づき、つなぐ仕組みが大切とされています。ストレスチェックや職場環境の見直し、復職支援まで含め、個人対応と組織改善を両輪で進めることが、安心して働ける職場への近道です。
労働施策総合推進法(2025 年6 月11 日公布)一部改正では、カスタマーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を講じることを事業主に義務付けることが盛りこまれました。
労働施策総合推進法 一部改正でハラスメント対策強化 | 政府広報オンライン
明るい職場応援団では、職場のハラスメントについて、わかりやすいイラストや動画コンテンツで解説されています。「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」では、望ましい声かけや注意の仕方など具体策を紹介しています。
あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-
また、メンタルヘルス対策の取り組み事例については以下でも詳しくまとめています。ぜひこちらもご覧になってください。
【企業向け】メンタルヘルス対策の取組事例5選!成功につながる秘訣を紹介 | 保健同人フロンティア
働き方改革の公開事例にみるコミュニケーション成功ポイント
【成功企業の共通点】
- 部署横断の対話機会をつくる
- 上司と部下の1on1を会社の取り組みとして位置づける
- インフォーマルコミュニケーションのしやすい職場環境の工夫
- 業務内容と評価軸の明確化をする(誤解防止)
- 会話の頻度・質を確認する方法を取り入れる
テレワーク企業向けガイドラインと支援策
総務省実施の令和5年通信利用動向調査では、テレワークを導入している企業は約50%で、「テレワークの導入にあたり課題となった点」において、9位に「社内コミュニケーションの不足、情報共有の困難」が(18%)挙げられています。
テレワークでは、意図的に対話の場をつくることが重要とされ、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」では業務共有や在宅環境、安全衛生、雑談等の考え方について解説されています。
まとめ
社内コミュニケーションの改善は「組織文化」「評価制度」「働き方の多様化」などに関わる重要なテーマです。テレワークの普及等で社内コミュニケーションは希薄化しやすい面も見えてきている一方で、心理的安全性や定着率、生産性に直結するため、放っておけない課題なのではないでしょうか。言語・非言語の両面を意識し、事例や理論、公的支援を活用しながら、組織全体で対話を育てることが大切です。
コミュニケーション活性を測るには、ストレスチェックを活用することをお勧めします。弊社のHOPEサーベイ(80問)では、オリジナル尺度の「人材の定着(インクルージョン)」が測れます。この尺度では、「成長できる職場」、「心理的に安全な職場」、「認められる職場」を構成因子としており、社内コミュニケーションの背景を、上司・同僚からの支援だけでなく、多角的に測ることが可能です。導入事例や機能詳細をまとめた資料も無料でご提供しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考URLまとめ
【厚生労働省】
・「労働施策総合推進法(パワーハラスメント防止措置)」労働施策総合推進法 一部改正でハラスメント対策強化 | 政府広報オンライン











