健康経営に重要なメンタルヘルス対策とは?ケアの仕方や効果的な取り組み
健康経営を推進するにあたって、従業員の身体的な健康だけではなく、心の健康を意味するメンタルヘルスにも目を向け、必要なケアを行うことが重要です。
メンタルヘルス対策は、従業員と組織ごとの課題を抽出するところから始まり、社内・社外を含めた産業保健スタッフが連携しながら課題解決に取り組みます。
この記事では、健康経営に重要なメンタルヘルス対策や効果的な取り組みを紹介します。
目次[非表示]
- 1.健康経営に重要なメンタルヘルス対策とは
- 2.メンタルヘルス対策の推進ポイント
- 2.1.従業員のセルフケア
- 2.2.ラインケア
- 2.3.事業場内産業保健スタッフなどによるケア
- 2.4.事業場外資源によるケア
- 3.健康経営に向けた具体的なメンタルヘルス対策
- 3.1.ストレスチェックの効果的な実施
- 3.2.カウンセリング制度の導入
- 3.3.メンタルヘルス研修の実施
- 4.まとめ
健康経営に重要なメンタルヘルス対策とは
健康経営とは、従業員の健康管理を戦略的に行い、労働生産性の向上や組織の活性化、業績向上につなげる人事施策のことです。
メンタルヘルスは心の健康を意味するもので、従業員の心身的な健康増進に取り組む健康経営と密接な関係性があります。
長時間労働やコミュニケーション不足などがメンタルヘルスの不調を起こしている場合、健康経営の推進を阻害する要因となります。
企業では従業員のメンタルヘルスを把握するとともに、適切なケアを行う必要があるでしょう。
メンタルヘルス対策の推進ポイント
企業でメンタルヘルス対策をする場合、従業員個々や組織ごとに視点を合わせたケアが求められます。ここでは、メンタルヘルス対策の推進ポイントを詳しく解説します。
従業員のセルフケア
厚生労働省がまとめた『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、従業員の心の健康づくり計画の策定ポイントが紹介されています。
本指針では、事業者が従業員に対して、以下のセルフケアを行える教育研修や情報提供を支援するよう求められています。
- ストレスやメンタルヘルスを学べる研修の実施
- ストレスチェックなどを活用したストレスの可視化と気づき
- ストレスやメンタルヘルス不調の適切な解消方法の学習など
企業全体でメンタルヘルス対策に取り組むうえで、管理者や監督者も同様のセルフケアを行うことが重要です。
ラインケア
ラインケアとは、部署やプロジェクトチームなどの単位で職場環境の改善や良好な人間関係の構築のサポートに取り組むことを指します。
『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、以下に重点的に取り組むことを求めています。
- いつもとは異なる部下の行動様式への気づきと対処
- 職場環境などの改善を通じたストレスの軽減
- メンタルヘルス不調の部下に対する職場復帰のための支援
- 部下からの自発的な相談の日常的な対応など
職場環境を改善する際は、従業員の健康問題だけではなく、業務において生産性の低下につながる原因を取り除く努力も必要です。
事業場内産業保健スタッフなどによるケア
事業場内産業保健スタッフは、メンタルヘルス対策をするための具体的な企画や施策を立案し、実行にあたる重要な役割を担っています。
『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、事業場内産業保健スタッフなどによるケアの重要ポイントを以下のようにまとめています。
- メンタルヘルスケアの実施に関する具体的な企画立案
- 個人の健康情報の保護と適切な取り扱い
- 事業場外資源とのネットワークの形成やその窓口
- 職場復帰における支援など
事業場内産業保健スタッフに該当するのは、産業医や保健師、衛生管理者、心の健康づくりスタッフ、人事労務管理スタッフ、事業場内メンタルヘルス推進担当者などです。
それぞれ役割分担を行い、事業外産業保健スタッフも含めて多面的にメンタルヘルス対策に取り組む必要があります。
事業場外資源によるケア
事業場外資源とは、医療機関や地域保健機関、EAPなどのメンタルヘルス専門知識やリソースを有する機関のことです。
『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、事業場外資源によるケアで重要な項目を以下のように紹介しています。
- 情報提供や助言を受けられるサービスの活用
- メンタルヘルスの可視化・管理サービスを活用する
- 事業場外資源とのネットワークの形成と相談窓口の開設
- 専門家による職場復帰支援など
自社内にメンタルヘルス対策のノウハウや専門知識を持つリソースが足りない場合には、上記のような事業場外資源を積極的に活用しましょう。
健康経営に向けた具体的なメンタルヘルス対策
ここからは、健康経営を目指すためのメンタルヘルス対策として、具体的な施策を紹介します。
ストレスチェックの効果的な実施
厚生労働省は2015年12月、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止するため、心理的な負担の程度を検査で可視化し、その結果に基づいた面談指導などを行うストレスチェック制度を開始しました。
ストレスチェックは、従業員にストレスに関する質問やアンケートを行い、ストレスの測定を行う取り組みのことです。
ストレスをより正しく把握するためにも、ストレスチェックツールを導入してPDCAをまわすことが望ましいです。
例えば、ストレスチェックの結果を組織・部門・部署・役職などに分析できるツールであれば、組織や職種で異なるストレスの課題を抽出できます。
ストレスを可視化したあとは、具体的なアクションプランを計画し、実行と効果検証、改善を繰り返すことでより効果的にメンタルヘルス対策を推進できます。
カウンセリング制度の導入
事業外資源を利用し、従業員がいつでも産業医や保健師などの専門家に相談できる制度や窓口を設置しましょう。
外部のカウンセラーに相談できる窓口の設置により、直接上司に相談できない人間関係や労働時間に関する悩みを打ち明けられるようになります。
また、会社に知られずに相談できる場所があることで、従業員が利用しやすい環境をつくることが可能となります。
これにより、メンタルヘルス不調の減少や早期対応による不調悪化の防止、ハラスメントの減少や労働災害の防止、労働時間の改善、休職率や離職率の減少に寄与するなど、さまざまなメリットを得られます。
休職者に対する復職プログラムなども利用できるため、メンタルヘルス対策を社内外から推進することが可能です。
メンタルヘルス研修の実施
メンタルヘルス研修は、メンタルヘルスに関する知識の習得や意識の向上、不調者の適切な対応等を学習させる目的で実施します。
また、メンタルヘルス研修の実施はメンタル不調者の早期発見につながる他、労働生産性やモチベーションの向上、離職率の低下、優秀な人材の流出防止にも効果的です。
例えば、以下のようなテーマでメンタルヘルス研修のプログラムを組み、実施します。
- メンタルヘルスケアの目的とは
- ストレスの基礎知識と溜め込まないためのポイント
- ラインケアの具体的な方法と注意点
- メンタルヘルス不調の従業員に対するケア
- メンタルヘルス不調の再発防止
- その他、職場で起こりやすいメンタルヘルス不調の具体例や対応時の役割分担など
厚生労働科学研究費安全総合研究事業では、メンタルヘルス研修に関する以下のマニュアルを公開しています。
これらのマニュアルを読んで、メンタルヘルス対策の基礎を学ぶことも大事です。
メンタルヘルス対策を正しく行うには、心理・精神に関する専門知識が求められるため、社内と外部のリソースをうまく使い、健康経営を推進しましょう。
まとめ
この記事では、健康経営のメンタルヘルス対策について以下の内容で解説しました。
- 健康経営に重要なメンタルヘルス対策の基礎知識
- メンタルヘルス対策の推進ポイント
- 健康経営に向けた具体的なメンタルヘルス対策
健康経営は、経営的な視点で従業員の健康状態を管理し、労働生産性を高める目的があり、メンタルヘルス対策が欠かせません。
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