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EAP(従業員支援プログラム)におけるストレスチェックとは?外注で実施する流れを紹介


従業員のメンタルヘルスケアを推進する手段として、EAPとストレスチェックが企業で導入・実施されています。

EAPとストレスチェックともに、従業員のストレスや心身の不調を早期に察知し、職場環境の改善につなげることが目的です。

しかし、企業でEAPやストレスチェックの導入・実施をしたいと検討していても、概要や適切な流れが分からない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、EAPとストレスチェックの関係性や制度が義務化された背景、厚生労働省が示す4つのメンタルヘルスケアや実施の流れについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.EAPとストレスチェックの関係性
  2. 2.ストレスチェック制度が義務化された背景
  3. 3.EAPとストレスチェックを含む4つのメンタルヘルスケア
    1. 3.1.①セルフケア
    2. 3.2.②ラインによるケア
    3. 3.3.③事業場内産業保健スタッフなどによるケア
    4. 3.4.④事業場外資源によるケア
  4. 4.外部EAPを利用したストレスチェックの流れ
    1. 4.1.①担当者の設置とストレスチェック制度実施規程の作成、それに基づく資料の作成
    2. 4.2.②衛生委員会での承認と従業員への周知
    3. 4.3.③ストレスチェックの実施
    4. 4.4.④ストレスチェックの受検状況の確認
    5. 4.5.⑤ストレスチェックの集団分析
    6. 4.6.⑥分析結果に基づいたフォロー
  5. 5.まとめ


EAPとストレスチェックの関係性

EAP(Employee Assistance Program)とは、従業員の心身的な不調をケアする目的で実施される従業員支援プログラムです。

心身の不調を抱える従業員は、EAPを通じて他の従業員に知られたくない悩みや不安などを社外の専門家に相談できます

厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』では、社内外のサービスを活用したメンタルヘルス対策を推奨しており、EAPも必要なケアの一つとして示されています。

ストレスチェックとは、従業員がストレスに関する質問に回答し、その集計・分析でストレスレベルを測定する検査のことをいいます。

EAPと同様に、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』で定められた4つのメンタルヘルスケアに含まれる取り組みで、従業員の現在の状況を把握するのに役立てることが可能です。


ストレスチェック制度が義務化された背景

2015年12月1日、『労働安全衛生法』の改正によりストレスチェック制度が義務化されました。

従業員が50人以上いる事業所が対象であり、毎年1回すべての従業員に対して実施する必要があります。

ストレスチェックが義務化された背景には、年間自殺者数の増加と精神障害等の労災補償件数の増加があると考えられています。

特に20代、30代の世代が職場での人間関係や仕事のストレスなどによってメンタルや身体の不調を引き起こすケースは少なくありません

そのため、企業では定期的にストレスチェックを実施して従業員のストレスや不調に早い段階で気づき、原因となる職場環境の改善につなげることが求められています。

厚生労働省は『ストレスチェック導入マニュアル』を公開しており、ストレスチェックを実施するための必要な知識を示しています。


EAPとストレスチェックを含む4つのメンタルヘルスケア

ここでは、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』で示されている4つのメンタルヘルスケアの概要を紹介します。

①セルフケア

セルフケアとは、従業員個人が取り組むメンタルヘルスケアで、従業員自身がストレスに気づき対処するための正しい知識や方法の定着を目的としています

従業員に対しては、下記のセルフケアが行えるように教育研修、情報提供などを行うことが求められています。

▼従業員に対して実施する教育研修・情報提供

  • ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
  • ストレスチェックなどを活用したストレスへの気付き
  • ストレスへの対処

ストレスへの気づきを促すためには、ストレスチェックやセルフチェックの実施が重要と考えられており、特別な理由がない限りはすべての従業員が受けることが望ましいです。

セルフケアは、従業員だけではなく管理監督者にとっても重要であり、事業者は管理監督者も教育研修やストレスチェックの対象とすることを推奨しています。

②ラインによるケア

ラインによるケアとは、管理監督者が部下に対して提供するケアです。

部下の仕事だけではなく、体調や心の変化にも注目して必要に応じて適切なケアが受けられるようにサポートすることが求められています。

ラインによるケアには、主に以下のようなケアがあります。

▼ラインによるケアの例

  • ストレスチェックの集団分析を活用した職場環境等の把握と改善
  • 労働者からの相談対応
  • 職場復帰における支援 など

管理監督者は部下の状況を日常的に把握し、個々の職場における具体的なストレスの要因を把握して改善を図れる立場にあることから、職場環境の把握と改善、従業員からの相談対応を行うことが求められています。

なお、業務を一時的なプロジェクト体制で実施する場合や通常のラインによるケアが実施できない場合は、指揮命令系統の上位者によるケアが行われる体制を構築する必要があります。

③事業場内産業保健スタッフなどによるケア

事業場内産業保健スタッフなどによるケアとは、社内に勤務する産業医や保健師によるケアのことをいいます。

企業によっては、人事労務課の従業員が産業保健スタッフを兼任するケースも少なくありません。

事業場内産業保健スタッフは、セルフケアおよびラインによるケアが効果的に実施されるように従業員と管理監督者に対するサポートを行い、心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルスに関する企画立案を行います。

また、事業場外資源とのネットワークの形成や窓口など、心の健康づくり計画の実施にあたって中心的な役割を担っており、休職中の従業員の職場復帰における支援なども担います。

④事業場外資源によるケア

事業場外資源によるケアとは、社外の専門家や専門機関、EAPなどによるケアのことをいいます。

メンタルヘルスケアを行ううえでは、企業が抱える問題や課題、求めているサービスに応じて、メンタルヘルスケアに関する専門的な知識を持つ事業場外資源の指導やアドバイスを受けることが有効と考えられています。

事業場外資源によるケアは、従業員が社内で相談しづらい・話しづらいと感じている場合に効果的で、社内の人間に情報が漏れないことがメリットです。

また、利用するサービスによっては医療機関や福祉サービスと連携できる場合もあり、従業員のメンタルや身体の状態に応じて適切な医療サービスに迅速につなげらることも事業場外資源によるケアのメリットの一つです。


外部EAPを利用したストレスチェックの流れ

ここでは、外部EAPを利用したストレスチェックの流れを紹介します。

①担当者の設置とストレスチェック制度実施規程の作成、それに基づく資料の作成

労働安全衛生法』では、ストレスチェックを実施する際は実施者、制度担当者、(必要に応じて)実施事務従事者などの担当者を配置する必要があると示されています。

実施者については、医師か保健師、厚生労働大臣が定めるストレスチェックを実施するうえで必要な知識についての研修を修了した歯科医師か看護師、精神保健福祉士か公認心理師のみが担当可能です。

担当所が決定した後は、ストレスチェック制度実施規程の作成やそれに基づく資料の作成、ストレスチェックの基本方針の策定などを行い、ストレスチェック実施に必要な準備をします。

②衛生委員会での承認と従業員への周知

ストレスチェックの基本方針の決定や資料が完成した後は、衛生委員会にて実施方法や結果を踏まえた職場環境の改善方法について審議が行われます。

▼衛生委員会で審議が行われる主な項目

  • ストレスチェックの目的と周知方法
  • ストレスチェックの実施体制・実施方法
  • ストレスチェックの結果に基づく集団ごとの集計と分析方法
  • ストレスチェックの受検有無の情報の取扱い方法や同意取得方法
  • ストレスチェックの結果の保存方法
  • 従業員の不利益となる取扱いとして禁止される行為の周知方法 など

衛生委員会は、従業員が50人以上の企業に設置が義務付けられている組織のことをいいます。

ストレスチェックの結果に基づく集団ごとの集計と分析の実施は義務付けられていませんが、結果を職場環境の改善に活用するためには実施が望ましいです。

また、ストレスチェックの受検有無は従業員の任意であり、受検をしない従業員が不当な扱いを受けないように対策も必要になります。

衛生委員会で承認を受けた内容は従業員へ周知し、ストレスチェックを実施する意義や必要性について理解を促すことが大切です。

③ストレスチェックの実施

衛生委員会による承認が得られ、従業員にストレスチェックの実施について周知ができればストレスチェックの実施を行います。

ストレスチェックは最低でも1年に1回すべての従業員に対して実施する必要があり、オンラインの専用システム、または従来の紙ベースのアンケートで受検させることが可能です。

ストレスチェックを実施する際は、調査票の取扱いには注意しなければなりません。従業員が回答した調査票は実施者または実施事務従事者が行うのが基本です。

調査票に記入された内容は従業員の個人情報になるため、社内外や第三者に見られることは禁止されています。

④ストレスチェックの受検状況の確認

ストレスチェック実施後は、結果や受検率などの受検状況と高ストレス者の確認を行います。

専用システムを活用すれば管理画面で受検状況の確認、リマインドメールの配信、結果の確認などが可能です。

高ストレス者に選定された従業員については、医師による指導を希望する場合は、企業の申し出により面接指導を実施します。

なお、医師による面接指導を受けるかは従業員の任意です。面接指導の申し出は、ストレスチェックの受検後1ヶ月以内に行うことが望ましいです。

⑤ストレスチェックの集団分析

ストレスチェックの目的は、従業員が自身でストレスに気づき、適切な対応をすることでメンタルヘルスの不調を未然に防止することであり、結果を活用して従業員にとって働きやすい環境を整備することが大切です。

ストレスチェックの結果を社内改善に活用するのであれば、集団分析が有効です。

全社的、部署/部門別、雇用形態、属性、性別など、さまざまな軸でストレスを分析することで、ストレスの原因や傾向などが特定しやすくなります

また、集団分析から得た情報をリストやグラフなどで可視化しておくと、従業員のストレスレベルの把握がしやすいです。

⑥分析結果に基づいたフォロー

ストレスチェックで得た情報の分析後は、その分析結果に基づいたフォローを従業員に対して行います。

特に高ストレス者に選定された従業員は早期に対応する必要があり、医師による面接指導の案内が義務付けられています。

また、社内環境の改善を図るのであれば、定期的な1on1ミーティングや分析結果に基づいた専門家による指導やアドバイス、コンサルティングなども有効です。


まとめ

この記事では、EAPにおけるストレスチェックについて以下の内容で解説しました。

  • EAPとストレスチェックの関係性
  • ストレスチェック制度が義務化された背景
  • EAPとストレスチェックを含む4つのメンタルヘルスケア
  • 外部EAPを利用したストレスチェックの流れ

EAPとストレスチェックは、従業員のメンタルヘルスケアを行ううえで欠かせない要素です。

ストレスチェックは実施が義務付けられており、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』で示された4つのメンタルヘルスケアにも含まれています。

EAPとストレスチェックを企業に導入することで、従業員のストレスの解消や職場環境につなげることが可能です。

保健同人フロンティアが提供する『HoPEサービス』では、ストレスチェックの実施に加え、従業員の心身に関する健康データの可視化と一元管理ができるシステムを提供しています。

企業と従業員個人が抱える課題をわかりやすく可視化し、調査結果を基に経験豊富なEAPコンサルタントが組織改善を全面的にサポートします。

以下の参考資料にてストレスチェックの基本について解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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監修者:保健同人フロンティア 黒坂泉
監修者:保健同人フロンティア 黒坂泉
企画マーケティング室 企画マネージャー 臨床心理士/健康経営エキスパートアドバイザー 大学院修了後、EAP企業にて、心理学の知見に基づいた企様々な業向けのメンタルヘルスケアサービスの企画・開発。従業員向けのゲーム研修開発や睡眠改善プログラムアプリサービスの企画開発を行う。現在は、企業人事向けの健康経営支援サービス開発の他、新規事業企画、マーケティング戦略企画・実行を担当する。また、大学との共同研究にも参加し、第30回日本産業ストレス学会(2022年)にて、当社が独自に開発した「職業性レジリエンス向上研修」の効果検証について発表を行った。

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