外部EAP(従業員支援プログラム)とは?内部EAPとの違いと期待できる4つの効果
企業で働く従業員のメンタルヘルス対策として、外部EAPが注目されています。
外部EAPの導入で従業員に何らかの不調があった際に迅速な相談が可能であり、状況の悪化を防止できることから、さまざまな企業で普及が進んでいます。
しかし、外部EAPの導入を検討していても、具体的な内容や効果が分からないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、外部EAPの概要や内部EAPとの違い、導入目的や期待できる効果、外部EAPの導入事例について詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.外部EAP(従業員支援プログラム)とは
- 2.外部EAPと内部EAPの特徴の違い
- 3.外部EAPの導入目的
- 4.外部EAPの導入で期待できる4つの効果
- 4.1.①内部に打ち分けられない相談をしやすい
- 4.2.②人的コストを抑えられる
- 4.3.③メンタルヘルス対策を24時間実施できる
- 4.4.④課題に合わせた専門家を活用できる
- 5.外部EAPの支援事例
- 5.1.①テクノプロ・ホールディングス株式会社
- 5.2.②株式会社桃屋
- 5.3.③オリエンタルモーター株式会社
- 6.まとめ
外部EAP(従業員支援プログラム)とは
EAP(Employee Assistance Program)とは、従業員支援プログラムという意味で、従業員の心身的な不調をケアすることを目的に実施されるプログラムです。
仕事や人間関係が原因でうつ病をはじめとした精神疾患を発症し、休職した従業員に対するケアはもちろん、不調や異変を早期に察知して対応できる環境の整備もEAPに含まれています。
元々は1950年代のアメリカで問題となっていたアルコール・薬物依存症をケアする目的で取り組みがはじまったプログラムです。
その効果がアメリカ国内で認められたことによって、日本を含む世界各国に普及したといわれています。
EAPの実施方法の一つである外部EAPは、社外の専門機関を相談窓口にする手法であり、顧問契約か業務委託などの契約を交わして行うのが一般的です。
外部EAPには、従業員のメンタルヘルスやストレスなどに関する社外相談窓口の設置以外にも、専門職による職場復帰の支援や職場環境改善の相談など、さまざまなサービスが含まれています。
外部EAPと内部EAPの特徴の違い
EAPには外部EAPと内部EAPの2種類があり、それぞれの特徴の違いは以下の通りです。
▼外部EAPと内部EAPの違い
外部EAP |
内部EAP |
|
相談窓口の設置場所 |
社外 |
社内 |
対応の早さ |
迅速 |
社内体制に依存 |
必要なリソース |
なし |
常駐する人員 |
コスト |
サービス利用料 |
人件費 |
外部EAPと内部EAPは、目的は同じですが運用面に違いがあります。
例えば、外部EAPであれば社外に設けられた相談窓口に必要なタイミングですぐアクセスできるため、その後の対応も迅速です。
しかし、社内の体制や人員が主体となっている内部EAPは、環境が整っていなければ対応に遅れが生じる可能性があります。
また、コスト面にも違いがあり、外部EAPはサービス利用料のみで利用できますが、内部EAPは専門人員配置や環境整備を自社で行わなければいけないため、一定の人件費がかかります。
企業・従業員の状況やニーズによって最適なEAPが異なるため、それぞれの違いを把握したうえで選定することをおすすめします。
外部EAPの導入目的
企業によって外部EAPを導入する目的はさまざまで、代表的な例が以下のとおりです。
▼外部EAPを導入する目的
- 従業員の心身の不調を早期的に発見できる
- 専門家の協力を経てメンタルヘルス対策を強化できる
- うつ病や適応障害などの精神疾患の発症リスクを抑制できる
- 休職者・退職者の減少により、採用・教育コストを削減できる
- 従業員のモチベーションとパフォーマンス向上につながる
- 組織内で良好な人間関係構築を促進できる
- 企業のブランディングにつながる など
外部EAPの導入目的は、共通して従業員の心身の健康と仕事のパフォーマンスを上げることにあります。
従業員が常にベストなパフォーマンスができるように、心身の不調や異変を早期に発見して改善できる体制・環境を外部EAPで実現することが重要です。
また、仕事上の悩みや不安だけではなく、家族との関係や健康上の不安、経済的な問題などでメンタルの不調を引き起こす可能性もあります。
従業員個人を含めて家族のケアも行えるようにしておくと、従業員により安心してもらえます。
外部EAPの導入で期待できる4つの効果
ここでは、外部EAPの導入で期待できる効果を4つ紹介します。
①内部に打ち分けられない相談をしやすい
外部EAPでは社外の専門機関を相談窓口として利用するため、従業員が社内の関係者に相談しづらい悩みを打ち明けやすい特徴があります。
内部の人間に悩みや不安を相談してしまうと、どこかで情報が漏れるリスクがありますが、外部EAPは社外の人間に相談するため従業員の個人情報やデリケートな相談内容が社内に漏れることがありません。
人事や他の従業員に知られたくない事情を知られたり、周りから望まない気遣いを受けたりする状況を回避できるため、従業員も気兼ねなく日頃の悩みや不安を相談することが可能です。
②人的コストを抑えられる
内部EAPを導入する場合、相談窓口は社内に設置する必要があり、専門の担当者を常駐させる必要があるため一定の人的コストがかかります。
一方で、外部EAPは社内に相談窓口の設置や専門家・スタッフを常駐させる必要がないため、環境整備は運用にかかる人的コストが抑制しやすいです。
また、外部EAPは必要がある時にのみ利用できるため、体制の運用・維持にかかるコストを抑えやすく、EAP導入にかかる負担を少なくできます。
③メンタルヘルス対策を24時間実施できる
従業員のメンタルヘルスの不調は、いつどのタイミングで発生するか分かりません。EAPを導入するのであれば、曜日や時間に関係なく利用できる体制を整えておくことが大切です。
外部EAPによっては、年中無休で相談窓口を提供するサービスもあり、メンタルヘルス対策を24時間実施できます。
社内のリソースを消費せずに24時間メンタルヘルス対策や職場復帰支援を講じられるため、従業員も安心して働けるようになるはずです。
④課題に合わせた専門家を活用できる
従業員が抱える悩みによっては、専門家による指導やアドバイスが必要になるケースがあります。
外部EAPは臨床心理士や保健師、キャリアコンサルタントなど、さまざまな専門家が対応できる場合があるため、従業員の課題に応じて専門的な知見を用いた支援ができます。
外部EAPによっては医療機関や福祉サービスと連携しているものもあるため、指導やアドバイスを受けたうえで適切な医療サービスにつなげることも可能です。
外部EAPの支援事例
ここでは、実際に外部EAPを導入した企業の事例を2つ紹介します。
①テクノプロ・ホールディングス株式会社
テクノプロ・ホールディングス株式会社では、2011年の東日本大震災を機に従業員のメンタルヘルスの重要性を再認識し、組織としてのメンタルヘルス対策の体制を強化したいと考えました。
最適な外部EAPを探すなかで保健同人フロンティアの『HoPEサービス』を見つけ、EAPを単なる福利厚生ではなく、人事戦略や経営戦略として捉えたメンタルヘルスに対する考え方に共感し、導入を決めました。
導入後はEAPサービスを全国の従業員に提供できるようになり、一人ひとりに行き届いたメンタルケアを実現しています。
また、保健同人フロンティアの営業担当とカウンセラーが密な連携を取れていることから、従業員もカウンセラーを信用して相談でき、その先にいる会社に対する信用にもつながっています。
支援事例の詳細は以下の記事でご覧いただけます。
②株式会社桃屋
株式会社桃屋はストレスチェック法制化に伴い、受検後の不調者の受け皿として社内体制の整備が必要だと考えました。
外部EAPを選定するなかで保健同人フロンティアの『HoPEサービス』にたどり着き、ストレスチェックから不調者の対策まで一貫したサポートや経験豊富なカウンセラー、場所を問わず対面相談ができる点がニーズと合致し、導入を決めました。
導入後はカウンセリングに対する従業員の意識に変化が現れ、カウンセリングの活用がより身近なものとなりました。
また、カウンセリングだけではなく、適宣カウンセラーや担当窓口と連携が取れるため、会社と従業員の橋渡しとして頼りにされています。
支援事例の詳細は以下の記事でご覧いただけます。
③オリエンタルモーター株式会社
オリエンタルモーター株式会社は、従業員が複線的に相談できる体制を整備したいと考え、外部EAPサービスの導入を検討していました。
全国に製造・開発を担当する事業所や営業所、支社を多数抱えていることもあり、同等の品質の外部EAPサービスを探すなかで、保健同人フロンティアの『HoPEサービス』にたどり着きました。
全国に対応した対面カウンセリングや自宅近くまで出向いて対面カウンセリングをする「出張面談」がニーズに合致したことから、導入を決めました。
導入後は全拠点の従業員とその家族にEAPサービスが届けられるようになり、実際にカウンセリングを受けた従業員の多くが満足したと好評です。
支援事例の詳細は以下の記事でご覧いただけます。
まとめ
この記事では、外部EAPについて以下の内容で解説しました。
- 外部EAP(従業員支援プログラム)とは
- 外部EAPと内部EAPの特徴の違い
- 外部EAPの導入目的
- 外部EAPの導入で期待できる4つの効果
- 外部EAPの支援事例
外部EAPは社内のリソースやコストを最小限に抑えて、従業員のメンタルヘルス対策を推進できます。
仕事や家族の悩みは社内の人間に話しづらい場合がありますが、外部EAPであれば社外の人間に相談するため、上司や同僚など他の従業員に情報が知られることがありません。
また、サービスによっては24時間年中無休で相談できるものもあるため、授業員が相談したいと思ったタイミングで利用できることがメリットです。
企業や従業員の状況やニーズによって最適なEAPが異なるため、まずは自社と従業員の課題を見つけることが大切です。
保健同人フロンティアが提供する『HoPEサービス』では、ストレスチェックの実施や従業員の心と身体の健康データを一元管理できるシステムを提供しています。
経験豊富なEAPコンサルタントが企業と従業員の課題解決に向けたサポートをするため、EAPの導入がはじめての場合でも安心です。
詳しくは、お気軽にお問い合わせください。