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EAP(従業員支援プログラム)のメンタルヘルスケアとは?主な3つの取り組みを解説


メンタルヘルスケアは、従業員の心身の健康維持において非常に重要な取り組みであり、組織の活性化・生産性向上にもつながります。

従業員に提供する福利厚生の一つであるEAP(従業員支援プログラム)には、様々なメンタルヘルスケアも含まれており、専門家による充実したサポートを受けられます。

この記事では、EAPのメンタルヘルスケアと3つの取り組みについて詳しく解説します。


目次[非表示]

  1. 1.EAP(従業員支援プログラム)とは
  2. 2.EAP(従業員支援プログラム)の主な3つのメンタルヘルスケア
    1. 2.1.①専門職によるカウンセリング
    2. 2.2.②メンタルヘルス研修
    3. 2.3.③メンタルヘルスチェック
  3. 3.EAP(従業員支援プログラム)でのメンタルヘルスケアを促進する4つのポイント
    1. 3.1.①導入目的の明確化
    2. 3.2.②外部EAPのサービス選定
    3. 3.3.③従業員への周知
    4. 3.4.④KPI(重要業績評価指標)設定と効果測定
  4. 4.まとめ


EAP(従業員支援プログラム)とは

EAPとは、Employee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略称で、従業員のメンタルヘルス不調、ストレスなどの解消に向けた取り組みを指します。

EAPの主な取り組み内容は、以下のとおりです。

  • 外部相談窓口(個別カウンセリング)

  • メンタルヘルス研修
  • ストレスチェック
  • 人事、管理監督者向けコンサルテーション
  • 職場のクライシスケア など

EAPの適切な実施は、従業員のストレスによる心疾患などの不調を予防し、休職や離職予防にも効果的です。


EAP(従業員支援プログラム)の主な3つのメンタルヘルスケア

ここでは、EAPの主な3つのメンタルヘルスケアについて詳しく解説します。

①専門職によるカウンセリング

臨床心理士や産業カウンセラーなどの専門家がカウンセリングを実施することで、メンタルヘルス不調の予防から不調により休職になった従業員の職場復帰もサポートできます

EAPの専門機関には、医師・臨床心理士・公認心理師・精神保険福祉士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタントなどが在籍します。

メンタルヘルスの相談と併せて、ハラスメントやからだの健康面、家族間の問題、キャリア形成など様々な問題の解決が可能であることも多いです。

②メンタルヘルス研修

メンタルヘルス研修の実施は、従業員自身がメンタルヘルスの概念を学び、適切なストレス対策やセルフケアを身につけることができます。

研修名目
概要
効果
セルフケア研修
ストレスとの付き合い方や軽減方法
従業員自身がストレスに気づきやすくなり、セルフケアの手段について知ることができる。
ラインケア研修
上司から部下へマネジメント目線のラインケア
部下の様子の変化の気づき方や、部下からの相談への対応の仕方を知ることができる。
コミュニケーション研修
職場内でのコミュニケーションの重要性
相手の話の聞き方や感じのいい話し方を知り、職場内のコミュニケーションを円滑にする。
ハラスメント防止研修
ハラスメントによる 悪影響と防止策
ハラスメントの定義やハラスメント防止における取り組みについて知ることができる。

メンタルヘルス研修は、従業員のセルフケアだけでなく、管理職の立場としてのラインケアや職場全体のコミュニケーション、ハラスメント防止への措置についての学習が可能です。

管理職と従業員では立場や役割が違うため、従業員が何に対してストレスを感じているのかわからない場合が多くあります。

また、職場のコミュニケーション不足により、従業員がストレスを抱え込みストレスが重症化するケースも多いです。

従業員がストレスへの自己察知能力を習得することで、より早くストレスの原因に対処できるようになります。

従業員同士でも相手の話の聞き方や好感が持てる話し方を身につけることで、チーム内のコミュニケーションが活性化されて職場の雰囲気の改善も望めます。

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメントは、従業員にとって尊厳や人格を傷つけられるあってはならない行為です。

したがって、会社全体でハラスメントを防止する措置をとる必要があります。

③メンタルヘルスチェック

EAPでは、専門家の監督のもとメンタルヘルスチェックを行い、従業員の精神的な悩みの原因や現状の問題の把握をすることができます。

例えば、定期的にアンケート調査で従業員のストレスチェックを行い、各々のストレスレベルを分析します。ストレスレベルが高い従業員を特定したあとは、専門家との面談や医師の紹介などのアフターフォローが可能です。

2015年の『労働安全衛生法』の改正に伴い、常時雇用する労働者が50人以上いる事業場は年に一回ストレスチェックを行うことが義務化されました。

EAPの導入と適切な実施は、ストレスチェック体制の構築からサポート、データの記録まで行えるため、メンタルヘルスケアとしても有効です。

また、地方都市において、自治体から会社や団体へストレスチェックの実施を推奨することで、地域全体のメンタルヘルスの向上につながります。


EAP(従業員支援プログラム)でのメンタルヘルスケアを促進する4つのポイント

ここでは、EAPでのメンタルヘルスケアを促進する4つのポイントについて詳しく解説します。

①導入目的の明確化

EAPを導入するにあたって、自社の組織と従業員の課題を洗い出し、導入目的を決める必要があります。

導入目的として、メンタルヘルス不調の防止、福利厚生の充実化、産業保健体制の強化、組織の生産性向上などが挙げられます

また、目的を洗い出したと同時に、EAPを導入した場合の目的の達成度を測る指標を決定しておくことも大切です。

②外部EAPのサービス選定

EAPには、内部EAPと外部EAPの2種類があります。

内部EAPは、会社内に常駐のカウンセラーやEAP専門のスタッフが、メンタルヘルス対策の企画や相談などのサポートを行います。

外部EAPは、会社外の専門機関にメンタルヘルスの相談窓口や各種サービスを委託する方法です。専門機関に在籍する経験豊富な専門家が、多面的にメンタルヘルスケアをサポートします。

外部EAPを選定する際のポイントは以下のとおりです。

▼外部EAPの選定ポイント

  • 自社の目的や課題に合っている
  • カウンセラー、コンサルタントの質
  • 相談内容の範囲の広さ
  • 外部機関との連携性
  • セキュリティ対策の内容 など

EAPを提供している専門機関は多く、サービス内容についても多種多様です。

臨床心理士や産業カウンセラーなど専門知識を持つスタッフが在籍しているか、メンタルヘルス以外の相談に対応できるか、対応時間や対応が状況に応じたものかなど、様々なパターンがあります。

組織と個人のメンタルヘルスケアに対して、目的と課題を洗い出したあとは、これらの選定ポイントに沿って外部EAPを導入することが大切です。

③従業員への周知

EAPを運用するにあたって、上層部で決定した具体的な取り組み内容を社内に周知させる必要があります。

例えば、EAP導入前に社内SNSや社報、掲示板、コミュニケーションツールなどの複数の手段を使い、従業員に効果的に周知します。

さらに、部門・部署ごとにEAPの目的や期待している効果などを説明して、EAPを利用しやすい環境づくりに努めることも大切です。

④KPI(重要業績評価指標)設定と効果測定

EAPの導入効果を可視化するには、KPI(重要業績評価指標)の設定が必要です。

EAPにおけるKPIは、様々な施策の目標達成に向けて、達成状況を数値化して計測・監視するための指標となります。自社の導入目的に合ったKPIを設定しましょう。

例えば、メンタルヘルス不調者数や休退職者を指標として、EAP導入前後で数値の変化を測定します。効果測定の結果、数値が思うように伸びていなければ施策を改善する余地があるということです。

EAPの導入効果をより高めたい場合には、メンタルヘルスやストレスを可視化できるツールを導入する、ノウハウのある専門家に分析を依頼するなどの選択が非常に有効です。


まとめ

この記事では、EAP(従業員支援プログラム)のメンタルヘルスについて以下の内容で解説しました。

  • EAPについて
  • EAPのメンタルヘルスケア
  • EAPのメンタルヘルスケアを促進するポイント

EAPは、従業員のメンタルヘルス不調、ストレスなどの解消に向けた多面的な取り組みで、従業員の心身の健康維持や生産性向上につなげられます。

具体的な取り組みとしては、メンタルヘルスチェックや専門職によるカウンセリング、メンタルヘルス研修などがあげられます。

EAPでメンタルヘルスケアを促進するには、導入目的の明確化・自社に適した外部EAPの選定・従業員への周知・KPIの設定を行うことが大切です。

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監修者:保健同人フロンティア 黒坂泉
監修者:保健同人フロンティア 黒坂泉
企画マーケティング室 企画マネージャー 臨床心理士/健康経営エキスパートアドバイザー 大学院修了後、EAP企業にて、心理学の知見に基づいた企様々な業向けのメンタルヘルスケアサービスの企画・開発。従業員向けのゲーム研修開発や睡眠改善プログラムアプリサービスの企画開発を行う。現在は、企業人事向けの健康経営支援サービス開発の他、新規事業企画、マーケティング戦略企画・実行を担当する。また、大学との共同研究にも参加し、第30回日本産業ストレス学会(2022年)にて、当社が独自に開発した「職業性レジリエンス向上研修」の効果検証について発表を行った。

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