臨床心理士と産業カウンセラーの違いとは?EAPメンタルヘルスカウンセラーの役割も紹介
EAP(従業員支援プログラム)を適切に実施している会社では、従業員が心身ともに健康に働ける環境が整っており、仕事のモチベーション維持や離職の抑制などのメリットが得られます。
EAPでは、臨床心理士や産業カウンセラーなどの専門家が従業員のメンタルヘルス不調に対してアドバイスやフォローを行うため、健康経営の効果的な推進が可能です。
この記事では、臨床心理士と産業カウンセラーの違いや、EAPメンタルヘルスカウンセラーの役割について詳しく解説します。
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目次[非表示]
- 1.臨床心理士と産業カウンセラーを比較
- 1.1.臨床心理士の特徴
- 1.2.産業カウンセラーの特徴
- 2.EAP(従業員支援プログラム)に関わるその他の専門職
- 2.1.公認心理師
- 2.2.キャリアコンサルタント
- 2.3.EAPメンタルヘルスカウンセラー
- 2.4.EAPコンサルタント(CEAP-I)
- 3.まとめ
人事領域のメンタルヘルスの専門家とは
人事領域におけるメンタルヘルスの専門家は、臨床心理士や産業カウンセラーなどが該当します。
臨床心理士とは、臨床心理学に基づいた知識や方法で、人の心の問題にアプローチする心の専門家です。
産業カウンセラーとは、個別の相談や研修の実施など総合的なメンタルヘルスの支援を行います。
臨床心理士と産業カウンセラーは、従業員の心の健康状態を専門的な知見とノウハウを持ってサポートする専門家であり、EAP(従業員支援プログラム)において重要な役割を担います。
臨床心理士と産業カウンセラーを比較
ここでは、臨床心理士と産業カウンセラーの特徴や役割の違いについて詳しく解説します。
臨床心理士の特徴
臨床心理士になるには、臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了または、指定大学院を修了する必要があります。
その後、日本臨床心理士資格認定協会の資格試験を受験し、合格すると臨床心理士として活動が可能です。
臨床心理士は、心の専門家として相談者に寄り添った聞き取りを行い、様々な悩みを解決に導くサポートをする役割を持ちます。
臨床心理士が行うEAPにおける具体的な取り組み内容としてあげられるのが、心理査定(アセスメント)・心理面接・調査および研究です 。
臨床心理士は、まず検査や面談を通して相談者の心理状態を探り、本人の把握してない悩みや不安を確認し支援の対策を検討する臨床心理査定を行います。
その後、精神分析や来談者中心療法等の臨床心理技法を用いて、相談者の自己理解や自己肯定ができるようにしたり、認知行動療法を用いて自分の考え方の癖に気づいて偏らない考え方を身につけたりと、さまざまなサポートを行います。こうしたサポートを行うことを心理面接と呼びます。
また心理学は、常に最新の情報が更新されており、様々な症状を持つ相談者に対し臨機応変な対応が必要です。臨床心理士は、過去の知識だけに頼らず、心理学を学び続けることも仕事として取り組んでいます。
産業カウンセラーの特徴
産業カウンセラーになるには、産業カウンセラー養成講座を修了または、大学院で心理学関連の所定の専攻を修了し、所定の科目の単位を取得する必要があります。
単位の取得後、試験を受け合格し、日本産業カウンセラー協会の会員登録をすると産業カウンセラーとして活動できます。
ただし、養成講座や所定専攻を修了しておらず、日本産業カウンセラー協会の登録をしただけでは、産業カウンセラーにはなれないので注意が必要です。
産業カウンセラーの役割としては、メンタルヘルス対策、キャリア形成の支援、人間関係開発、職場環境改善支援などがあります。
産業カウンセラーは、高ストレス者やメンタルヘルス不調の従業員への個別面談を行い、その結果を分析してメンタルヘルス対策を提案します。
また、今後のキャリア形成に関わる悩みや、人間関係についての悩みなどを持つ従業員に対してカウンセリングを行い、将来設計や人間関係開発の支援を行うことも可能です。
会社向けの研修の実施も可能な場合があるため、従業員や管理者の健康に対する知見を広げ、職場環境の改善についても支援できます。
EAP(従業員支援プログラム)に関わるその他の専門職
ここでは、EAPに関わるその他の専門職について詳しく解説します。
公認心理師
公認心理師は、2017年に『公認心理師法』によって、初めて国家資格として定められた心理に関する資格です。
心理の知識・カウンセリングスキルを有した専門職であり、傾聴や認知行動療法などの心理療法で、悩みや不安の解消を支援します。
仕事の内容で臨床心理士との大きな違いはありませんが、個人面談の対応が多いです。また、公認心理師は外部に向けての教育情報の提供や発信が仕事に含まれています。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、2016年に施行された『職業能力開発促進法』に伴い設けられた国家資格です。
労働者の職業選択、職業生活設計、職業能力の開発などの相談に対応し、助言を行います。
従業員に対して、望ましいキャリアの選択や開発のサポートを行い、活躍する場面を増やせるように導く役割を持ちます。
従業員のキャリア形成を効率的に行うことで、会社の生産性の向上が可能です。
EAPメンタルヘルスカウンセラー
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、日本初のEAP・心理・メンタルヘルス分野の総合資格で、個別支援に加え組織支援(EAP)を総合的に行います。
メンタルヘルス不調やストレスを抱えている従業員に対する個人カウンセリングはもちろん、メンタルヘルス不調者の上司や同僚へのカウンセリングを行い、多岐にわたるサポートが可能です。
従業員と管理者の課題に対応でき、コンサルテーションを行うことで、会社全体のパフォーマンスの向上が望めます。
EAPコンサルタント(CEAP-I)
EAPコンサルタント(CEAP-I)とは、国際EAP協会日本支部が認定するEAPの専門家のことです。
EAPコンサルタントの上位にあたる存在もおり、CEAP(国際EAP協会認定EAP専門家)、通称国際EAPコンサルタントと呼ばれます。
会社や従業員の問題を分析し、原因の特定を行い、早期に問題解決に向けてサポートします。会社に対して、メンタルヘルスに関する具体的な提案や、職場環境の改善に向けた研修が可能です。
EAPコンサルタントは、さまざまな問題に対する確実な原因究明と会社や従業員に向けた施策をサポートするため、組織全体の運営を健全に維持する役割を果たします。
まとめ
この記事では、臨床心理士と産業カウンセラーの違いについて以下の内容で解説しました。
- 人事領域におけるメンタルヘルスの専門家について
- 臨床心理士と産業カウンセラーとの違い
- EAPに関わる専門職について
人事領域におけるメンタルヘルスの専門職と呼ばれるのは、主に臨床心理士や産業カウンセラーなどです。
臨床心理士は、心の専門家として相手の相談を聞き、精神分析や認知行動療法などの臨床心理技法を用いてサポートをします。
産業カウンセラーは、メンタルヘルスの業務やキャリア形成の支援、職場環境改善支援など総合的な取り組みを可能とします。
他にも、公認心理師・キャリアコンサルタント・EAPメンタルヘルスカウンセラー・EAPコンサルタントなど、EAPに関わる専門職にも様々な種類があります。
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