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ストレスチェックにおける産業医の役割とは?面談指導の流れと重要性


ストレスチェックで高ストレス者と判定された従業員に対して、産業医による面談指導が行われます。

産業医による面談指導を実施する際、具体的にどのような流れで行われるのか詳しく知りたい担当者様も多いのではないでしょうか。自社に産業医が不在の場合、外部委託する流れについても知っておくことが重要です。

この記事では、ストレスチェックにおける産業医の役割と面談指導の流れについて詳しく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.ストレスチェックとは
    1. 1.1.ストレスチェックの狙い・目的
    2. 1.2.ストレスチェックの実施者
    3. 1.3.ストレスチェックの対象者
  2. 2.ストレスチェックにおける産業医の役割とは
  3. 3.産業医による面談指導の重要性
  4. 4.ストレスチェックにおける産業医面談の流れ
    1. 4.1.①高ストレス者の選定基準の決定
    2. 4.2.②面談指導の勧奨
    3. 4.3.③面談指導の実施
    4. 4.4.④面談指導に基づいた意見を事業場へ引き継ぐ
    5. 4.5.⑤事業場による必要に応じた措置の実施
  5. 5.産業医不在でも面談指導を依頼できる外部組織について
  6. 6.多様な面談の一元管理で個別フォローを最適化する『HoPEヘルスケア』
  7. 7.まとめ

ストレスチェックとは

ストレスチェックの狙い・目的

ストレスチェックは、従業員の心理的な負担を客観的に評価するための検査です。

従業員自身がストレスに関する質問票に回答し、その結果を専門家が分析することで、個人や組織のストレス状態を把握します。

この検査により、従業員は自身のストレス状態を認識し、早期対策を講じることが可能です。

また、会社側も組織全体のストレス傾向を把握し、職場環境の改善に活用することが可能になります。

ストレスチェック制度についてより詳しい内容を知りたい方は、以下の記事で説明していますのでご興味ある方はご覧ください。

ストレスチェックについて理解しよう!概要から実施手順、その後の対応まで詳しく解説 | 保健同人フロンティア

ストレスチェックの実施者

厚生労働省令により、以下の資格を持つ者が実施者として認められています

  • 医師
  • 保健師
  • 看護師(厚労省指定の研修修了者)
  • 精神保健福祉士(同上)

また、実施者とは別に社内でストレスチェック制度の運営を管理する実務責任者も必要です。通常は課職員が任命され、以下の業務を担当します:

  • 実施計画の策定
  • 実施者・従事者の選任と連携
  • 社員への制度周知(掲示板などで氏名を通知)
  • 担当者変更時の周知対応

ストレスチェックの対象者

厚生労働省の『ストレスチェック実施マニュアル』によるストレスチェックの対象者の要件については、以下のとおりです。

  • 期間が定められてない雇用契約を結んでいる従業員
  • 期間が定められているが、契約期間が1年以上(予定含む)、もしくは1年以上引き続き使用されている従業員
  • 上記従業員の1週間の労働時間が、通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上である

上記のことから、ストレスチェックの対象者は、正社員以外のパートやアルバイトなども当てはまる場合があります。

なお、ストレスチェックの対象者については以下の記事で詳しく説明しているので興味がある方はご覧ください。

ストレスチェックの対象者は全員?従業員の適用範囲や実施する際の注意点 | 保健同人フロンティア

ストレスチェックにおける産業医の役割とは

産業医はストレスチェック後に高ストレス者に向けた面談指導を行い、事業場に必要な措置の指示を行います

面談指導は、必ずしも産業医が行わなければならないとは限りませんが、職場の状況を知っている産業医に担当してもらうのが望ましいです。

実際に、産業医がストレスチェックの実施者を兼ねるケースが多く、その場合は準備からストレスチェック後のフォローまで一気通貫で協力してもらえるため、スムーズに運用できます。

産業医による面談指導の重要性

ストレスチェック後の産業医による面談指導は、従業員のメンタルヘルス不調の悪化を防ぐために必要です

産業医による専門的な目線のアドバイスに基づいて、事業場は休職や面談、就労制限などの適切な措置を実施できます。

適切な措置を実施できれば、働きやすい職場づくりとメンタルヘルス不調の予防に期待できます。

そもそも、産業医は法的にその職務や立場が明示されており、そういった観点でも産業医を活用してメンタルヘルス対策をしていくことが重要です。

産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。(労働安全衛生法第13条第5項)

また労働者の健康障害の防止に関して、総括安全衛生管理者に対する勧告または衛生管理者に対する指導、助言をすることができます。(労働安全衛生法第14条第3項)

さらに2019年の法改正で産業医の権限が強化され、事業者が産業医に付与すべき権限が次のように具体的に示されました。(労働安全衛生規則第14条の4第1項第2項)

  • 事業者または総括安全衛生管理者に対して意見を述べること
  • 労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集すること
  • 労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置を取るべきことを指示すること

あとは、産業医は少なくとも毎月1回、作業場などを巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、ただ時に労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。(労働安全衛生規則第15条)

産業医はこうした法的な職務や立場があるため、より労働者の職務内容や社内制度を理解できる立場にいますのでそういった意味でも面接指導を産業医に任せることは効果的と言えます。

ストレスチェックにおける産業医面談の流れ

産業医面談を効果的に行うには、ストレスチェックの準備から高ストレス者への措置までのプロセスを適切に行う必要があります。

ここでは、ストレスチェックにおける産業医面談の流れについて詳しく解説します。

①高ストレス者の選定基準の決定

高ストレス者の選定基準は、産業医と事業場によって決定されます。

高ストレス者とは、心身の自覚症状が一定以上あり、ストレスの原因や周囲のサポート状況が悪い状態と判断された従業員のことです。

実施者である産業医の意見を踏まえて、事業場が選定基準を選定し、従業員の評価自体は産業医が行います。

なお、高ストレス者の選定基準については以下の記事で詳しい内容を説明していますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。

【人事担当者向け】 ストレスチェックにおける「高ストレス者」とは?選定基準と対応方法を徹底解説 | 保健同人フロンティア

②面談指導の勧奨

ストレスチェックの結果通知の際に、実施者である産業医から高ストレス判定を受けた従業員へ面談指導の勧奨が行われます

従業員への面談指導の勧奨ができるのは、実施者と実施事務従事者のようなストレスチェックの内容を扱える者だけです。

また、結果通知から一定期間が経ち、高ストレス者が面談指導を行っていない場合は、再度面接指導の勧奨を封書やメールなどで行う場合があります。

③面談指導の実施

高ストレス者判定を受けた従業員から、面談指導を希望する申し出があった際に、面談指導を実施します。

面談指導の申し出があった場合は、事前に事業場から産業医へ勤務状況や職場環境などの情報を共有しておき、適切な面談指導を実施できるようにするのが望ましいです。

ただし、面談指導は従業員の希望した場合のみ行われ、強制はできません。

したがって、面談指導の申し出がしやすいように、ストレスチェックの取り組みの意図や秘匿性について従業員に共有しておく必要があります。

④面談指導に基づいた意見を事業場へ引き継ぐ

産業医による面談指導の結果は、事業場へ引き継がれます。

高ストレス者への就業上の措置の必要性や必要な措置の内容について、産業医からの意見が事業場へ伝えられます

面談指導後の意見の聴取は、可能な限り迅速に行い、遅くとも1か月以内の対応が必要です。

⑤事業場による必要に応じた措置の実施

事業場は、産業医から受けたアドバイスを元に就業上の措置を実施します。就業上の措置は、高ストレス者の状態に応じて対応方法が変わります。

就業上の措置の種類と内容については、以下の通りです。

措置の種類

内容

就業制限

時間外労働・休日労働の削減、出張制限、労働負荷の制限、
業務内容の変更、就業部署の変更など

休業

療養のための休暇や休職など

事業場が就業上の措置を提案した場合に、本人が拒否する可能性があります。そのため、就業上の措置の内容は高ストレス者本人との話し合いのうえで決定する必要があります

また、従業員が不利益な扱いを受けないことを説明しておけば、安心してもらいやすいです。

産業医不在でも面談指導を依頼できる外部組織について

会社に産業医が不在の場合、ストレスチェック後の面談指導を依頼できる外部組織に依頼するという選択肢があります。

▼面談指導を依頼できる外部組織

外部組織

概要

・産業保健総合支援センター
・地域産業保健センター

産業保健関係者や事業場への個別支援を行う。

医師会

さまざまな医師が所属している団体で、地域によっては産業医の紹介が可能。

健診機関

産業医を紹介できる健診機関もあるため、健康診断を依頼している機関に相談する。

民間の外部組織

ストレスチェックの実施や高ストレス者への面談、産業医の派遣などのサービスを取り扱う。

各団体が面談指導を行えるかどうかは、地域や支部によって変わるため、事前のリサーチが必要です

多様な面談の一元管理で個別フォローを最適化する『HoPEヘルスケア』

保健同人フロンティアが提供する『HoPEヘルスケア』は、面談の記録を1箇所に集約して従業員への個別フォローを適切に行えるサービスです

▼HoPEヘルスケアの特徴

  • 高ストレス部署を対象とした職場全員面談で高ストレス者のフォローを徹底
  • 産業医面談や高ストレス者面談などの記録の一元化で従業員への対応を漏らさない
  • 全国に対応した現場型EAPカウンセリングで全社員のメンタルヘルス不調を予防

高ストレス者への適切なフォローを行いたい方や面談までの流れをスムーズに行いたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では、ストレスチェックにおける産業医の役割ついて以下の内容で解説しました。

  • 産業医の役割
  • 産業医面談の流れ
  • 面談指導を依頼できる外部機関

ストレスチェックにおける産業医の役割は、ストレスチェックで明確化された高ストレス者の面談指導を行い、事業場に必要な措置の指示を行うことです。

産業医面談は、高ストレス者の選定基準の決定、面談指導の勧奨、面談指導の実施、事業場への意見共有、必要な措置の実施の流れで行われます。

産業医が社内にいない場合、産業保健総合支援センターや地域産業保健センター、医師会などのさまざまな外部組織に面談指導を依頼できます。

保健同人フロンティアが提供する『HoPEヘルスケア』は、高ストレス者が多い部署全員への面談を実施でき、高ストレス者への徹底的なフォローを実現できるサービスです。

産業医面談やカウンセリングなどのその他の面談の記録が一元化されたシステムを提供できるため、フォロー対応の漏れを防止できます。

HoPEヘルスケアの健康管理に係るサポート内容やシステムの機能性について、詳しく解説した資料を無料公開していますので、ぜひこの機会にご覧ください。



監修:黒坂泉
監修:黒坂泉
【所属:MBK Wellness株式会社 保健同人フロンティア事業本部 健康経営事業部 企画マーケティング室 企画マネージャー 臨床心理士/健康経営エキスパートアドバイザー】 大学院修了後、EAP企業にて、心理学の知見に基づいた企様々な業向けのメンタルヘルスケアサービスの企画・開発。従業員向けのゲーム研修開発や睡眠改善プログラムアプリサービスの企画開発を行う。現在は、企業人事向けの健康経営支援サービス開発の他、新規事業企画、マーケティング戦略企画・実行を担当する。また、大学との共同研究にも参加し、第30回日本産業ストレス学会(2022年)にて、当社が独自に開発した「職業性レジリエンス向上研修」の効果検証について発表を行った。

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