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健康経営とは?定義や目的と健康経営優良法人認定制度をわかりやすく解説


従業員や組織の労働生産性、企業の競争力向上を目指すうえで、従業員の心身的な健康の維持・増進をサポートする健康経営は非常に重要な取り組みです。

健康経営の推進は、ワークライフバランスの実現や人材の雇用・離職防止、最終的には業績アップにつながるため、まずは基本概念から学んでいく必要があります。

この記事では、健康経営の定義や目的、健康経営優良法人認定制度について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.健康経営とは
  2. 2.健康経営に取り組む目的
    1. 2.1.①生産年齢人口の減少に伴う人材不足
    2. 2.2.②60歳から65歳への定年延長
    3. 2.3.③ワークライフバランスの実現に向けた推進
    4. 2.4.④ヘルシーカンパニーの概念に基づく業績・生産性向上への影響
  3. 3.健康経営優良法人認定制度における4つの認証
    1. 3.1.健康経営優良法人
    2. 3.2.健康経営銘柄
    3. 3.3.ブライト500・ホワイト500
  4. 4.まとめ


健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考慮し、戦略的に実行する取り組みです。

経営理念に基づいた従業員への健康投資で、労働生産性やパフォーマンス、組織の活性化などの向上に寄与するのが、健康経営の大きな役割です。最終的には、企業全体の業績向上や株価向上につながることが期待されます。

世界保健機関(WHO)では、『肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態』を健康の定義としています。

健康経営は、日本再興戦略や未来投資戦略における『国民の健康寿命の延伸』に関わっており、国を挙げて推進している取り組みです。


健康経営に取り組む目的

近年における労働者不足やワークライフバランスの推進などに伴い、健康経営に積極的に取り組む企業が増えています。ここでは、健康経営に取り組む4つの目的を紹介します。

①生産年齢人口の減少に伴う人材不足

健康経営は、生産年齢人口の積極的な雇用と流出防止につながる重要な施策の一つです。

近年、日本では15〜64歳までの生産年齢人口の減少が深刻化しています。内閣府が公開した『令和4年版高齢社会白書』では、生産年齢人口が1995年をピークに減少していることがわかります。

出典:経済産業省『第1部 特集 情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~

上記のように、2050年には5,275万人まで減少することが予想されており、労働力不足がさらに深刻になる見込みです。

少子高齢化の進行により加速する生産年齢人口の減少は、すべての企業が向き合わなければならない問題とされています。

②60歳から65歳への定年延長

日本政府は、2025年4月からすべての企業で65歳定年制を義務化するとしています。また、企業の努力目標として70歳までの定年延長を求めています。

65歳の定年延長に伴い、シニア層が健康かつ快適に働ける職場環境づくりを進めることが非常に重要です

そのため、シニア層にパーソナライズ化した健康経営の取り組みも積極的に取り入れることが望まれます。

③ワークライフバランスの実現に向けた推進

健康経営とワークライフバランスは密接に関連しており、互いに相乗効果を持つ要素です。内閣府では、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の定義を以下のように示しています。

(1)就労による経済的自立が可能な社会 経済的自立を必要とする者、とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。


 (2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会 働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。


 (3)多様な働き方・生き方が選択できる社会 性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。


出典:内閣府『仕事と生活の調和とは(定義)

ワークライフバランスの実現に向けた取り組みは、健康経営優良法人の認定基準のひとつとなっているため、本質を十分に理解しておく必要があります

④ヘルシーカンパニーの概念に基づく業績・生産性向上への影響

Healthy Company(ヘルシーカンパニー)とは、米国の臨床心理学者のロバート・ローゼンが提唱した健康経営の概念のことです。

経営と健康管理を一つのものとして捉えて投資を行い、業績と生産性向上を追求するのが、ヘルシーカンパニーの大きな目的です。

具体的には、従業員のパーソナライズされたウェルネスプログラムや、メンタルヘルス管理システムなどの導入で健康経営への取り組みを強化します。

経済産業省『健康経営の推進について』では、健康経営への投資1ドルに対して3ドルのリターンになるとの調査結果が示されており、健康投資による経済効果も期待できます。


健康経営優良法人認定制度における4つの認証

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度です。ここでは、健康経営優良法人認定制度における4つの認証について紹介します。

健康経営優良法人

経済産業省や日本健康会議が運営する健康経営優良法人は、優良な健康経営の取り組みを実践している企業に対して与えられる認証です。

中小企業向けの中小規模法人部門、大企業向けの大規模法人部門の2部門が設けられています。健康経営優良法人の認証を受けた企業は、認定ロゴマークを使用することが可能です。

従業員の心身的な健康に配慮している企業であることを外部にアピールできるため、企業イメージのアップや人材確保などに有利に働きます

他にも、貸付利率や特別利率、補償料における優遇制度を利用できるなどのメリットがあります。

なお、健康経営優良法人への申請には、各地の協会けんぽや健康保険組合が実施する健康宣言事業への参加が必要です。

健康経営銘柄

健康経営銘柄とは、優れた健康経営に取り組んでいる上場企業に与えられる認証のことです。

経済産業省と東京証券取引所が、東京証券取引所の上場企業から1業種最大5枠を選定・認定するため、極めて価値の高い認証といわれています

健康経営銘柄に認証された企業は投資家にアピールできるため、運営資金の調達で大きなメリットを得られます。

また、ブランディングや採用活動においてもアドバンテージを得られやすい認証です。2023年度より選定基準に以下の変更が行われました。

  • 「健康経営度が上位20位以内」から「健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内」に変更
  • 銘柄ブランドの価値を維持する観点から、「1業種最大5枠」に設定

ブライト500・ホワイト500

健康経営優良法人に認定された企業のうち、健康経営の取り組みが特に優秀だった上位500企業に顕彰されるのが、ブライト500・ホワイト500です

ブライト500は中小規模法人部門から、ホワイト500は大規模法人部門から認定されます。

健康経営優良法人やブライト500・ホワイト500には、経営理念、組織体制、制度・施策実行、評価・改善、法令順守・リスクマネジメントという認定要件が設けられています。

企業の経営者や人事部担当者の方は、各認定要件を把握したうえで健康経営の取り組みを行なうことが望まれます。


まとめ

この記事では、健康経営について以下の内容で解説しました。

  • 健康経営の概念
  • 健康経営に取り組む目的
  • 健康経営優良法人認定制度における4つの認証

健康経営は、経営的な観点で従業員の健康管理を戦略的に行なう取り組みであり、労働生産性やパフォーマンスの向上、組織の活性化などにつながるメリットがあります。

生産年齢人口の減少に伴い、人材の雇用と流出防止に取り組む重要性が高まっている今、従業員の心身的な健康管理を強化するとともに、従業員のWell-beingを実現するための施策が求められます。

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監修者:保健同人フロンティア 宮尾亮子
監修者:保健同人フロンティア 宮尾亮子
企画・マーケティング室 室長 臨床心理士/公認心理師/健康経営アドバイザー 都立病院にて臨床心理士としてクライアントやその家族に対する支援を実施。その後、株式会社保健同人社(現:保健同人フロンティア)に入社。多数の企業の組織分析、人事へのコンサルティングを行うEAPコンサルタントや研修講師として活躍。 その後、企業向けサービスの企画開発、マーケティング含む戦略立案・実行の統括を担う。

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